伝統芸能

『金銀忠臣蔵 仇討の収支決算』

金銀忠臣蔵―仇討ちの収支決算作者: 中江克己出版社/メーカー: 太陽企画出版発売日: 1998/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るアマゾンで「忠臣蔵」をキーワードにして調べると488点の書籍が見つかる。「赤穂浪士」の100点を加えると600点あ…

吉例顔見世大歌舞伎

朝10時30分から夜9時10分まで歌舞伎座にいた。それでもまったく飽きもしないかったし、心地よい疲れだけが残る素晴らしい舞台だった。先月の義経千本桜にひきつづき、現歌舞伎座の千秋楽が近づくにつれて、どんどん舞台も客席も盛り上がってくる。菅原伝授手…

11月花形歌舞伎・夜の部

昨日は祝日。まだ3日目だから、あくまでもこの寸評は、陸上競技でいうところの向かい風参考記録だ。今月の「三人吉三」は通し狂言である。「月も朧に白魚の〜」で有名な大川端の場から芝居は始まる。お嬢吉三は菊之助であるから安心して見ていられる。けっし…

『写真集 歌舞伎座』

いまでは歌舞伎座の中でしか販売していない本だ。ボクは歌舞伎会で通信販売していた時に買ったので、5枚のポストカード付きだった。写真家は安齋重男、初版第1刷は2009年9月1日だ。内容は写真のみである。一切の文章がない。歌舞伎座の裏も表も全てが記録さ…

『大向うの人々』

大向うの人々 歌舞伎座三階人情ばなし作者: 山川静夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/29メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (13件) を見るいやはや面白いのなんの、歌舞伎ファンにとっては必読書だ。本書を読まずして歌…

芸術祭十月大歌舞伎・夜の部

10月歌舞伎の夜の部は「義経千本桜」の通し狂言である。通し狂言といっても、じつは渡海屋+大物浦と吉野山+川連法眼館の二つの全く異なる芝居である。ベースとなるストーリーは義経の逃避行なのだが、義経は準主役であり、それぞれ主役が平氏の海モノと主…

芸術祭十月大歌舞伎・昼の部

席は1階10の18という今月最高の場所だったのだが、たまたま通路を挟んで隣が小泉元総理であった。昼にお目にかかるのは、5−6年前に日産のゴーンと一緒に官邸を訪ねて以来だ。無粋であるから、軽く会釈しただけだ。昼の部は「毛抜」から。なんだか全体がちい…

『河竹黙阿弥』

河竹黙阿弥―元のもくあみとならん (ミネルヴァ日本評伝選)作者: 今尾哲也出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2009/07メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る「ミネルヴァ日本評伝選」の7月刊の1冊である。このシリーズは約40…

八月納涼大歌舞伎 第三部

「お国と五平」は谷崎潤一郎原作の劇だ。ボクの好きな「カ・ブ・キ」ではない。歌舞伎役者が得意のちょんまげかつらをかぶって、歌舞伎座で演じているだけの普通の演劇だ。だから、効果音なども録音されたものをスピーカーから流すことになる。よほど「古い…

八月納涼大歌舞伎 第一部

「天保遊侠録」は勝海舟の父親である小吉のお話だ。「江戸っ子」は宵越しの金を持たない職人たちが相場だが、下級幕臣も立派な江戸っ子だった。じっさい勝海舟の江戸弁もじつに粋だったらしい。小吉役は橋之助、馴染みだった芸者の八重に扇雀、小吉の甥に勘…

八月納涼大歌舞伎 第ニ部

昨日はきつい一日だった。埼玉某所にて朝6時スタートの早朝ゴルフスループレーをしたあと、シャワーも浴びずに自宅にもどり、それから歌舞伎を見にいった。夏休みならではの日程だ。プレーをしたのはお気に入りの「○○ゴルフ倶楽部」だ。丁寧にメンテナンスさ…

新橋演舞場六月大歌舞伎 NINAGAWA「十二夜」

「十二夜」の原作はシェークスピアであり、4年前に蜷川幸雄の演出で歌舞伎化された。今年3月にはロンドン公演も行われた。菊五郎と菊之助が1人2役で出演するのだが、菊之助の役の1つは、じつは男装の麗人という設定だからややこしい。序盤の菊之助の早替わり…

五月大歌舞伎・夜の部

今月の歌舞伎座は圧倒的に「夜の部」が良かった。昼夜ともほぼ同じ役者が出演しているのだが、全く異なる印象が残った。夜の部の口開けは「毛剃」だ。ストーリーはあまりに大らかすぎて現実感が全くない。その非現実世界の主人公を団十郎が見事に演じている…

五月大歌舞伎・昼の部

ゴールデンウィーク中はゴルフとプラモデル作りに明け暮れていた。しかし、ゴルフは全く上達していないし、プラモデルもどれ一つとして完成していない。そこで、ひさしぶりの歌舞伎である。菊五郎チームがやっと歌舞伎座に帰ってきた。ホントに「待ってまし…

二月大歌舞伎・昼の部

今日は早稲田高校の課外授業と同席だった。1階奥と2階席のほとんどを学生服が占めていた。立派な観覧態度だったし、ロビーでもしっかりしていた。その中の1人でも歌舞伎を好きになってくれれば嬉しいと役者衆も思ったはずだ。その一方で、加茂堤どころか二人…

二月大歌舞伎・夜の部

歌舞伎座には少し早めについたので周りを歩いてみた。劇場裏の歩道のフェンスには黒っぽいTシャツと足袋が干してあった。大道具の人たちのいわば制服だ。歌舞伎座が立て替えられてビルになると、こんな情緒はもう見られなくなるであろう。ちなみに新歌舞伎座…

国立劇場初春歌舞伎公演

団十郎の復帰公演でもある舞台だから、しょっぱなは歌舞伎十八番「象引」である。本当におめでたい舞台だった。もちろん団十郎の復帰がなによりもおめでたいのだが、ストーリーそのものもおめでたい。死ぬ人もいないし、本物の悪人もいない。団十郎と三津五…

壽初春大歌舞伎・夜の部

久しぶりに歌舞伎を堪能した。新春らしい晴々朗々とした番組だった。「曽我対面」はそもそも豪華な舞台なのだが、菊五郎、幸四郎、吉右衛門、松緑、菊之助、染五郎などが勢ぞろいで最後に大見得を切るのだ。ワクワクドキドキである。物語は荒唐無稽なのだが…

壽初春大歌舞伎・昼の部

歌舞伎座さよなら公演の第一回目である。とはいえ、さよなら公演はこれから16ヶ月間続くのだから、商魂たくましいとはこのことだ。歌舞伎を見たことがない人も歌舞伎座に来てもらおうという魂胆がみえみえだ。それでも歌舞伎人口が増えるのはファンとしても…

吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎・昼の部+夜の部

12月の歌舞伎座の一等席は15000円だが、京都の顔見世は同じ一等席で25000円もする。昼の一幕目は愛之助と孝太郎の舞踊だ。まあ良い。二幕目は巨大な船のセットが舞台上で回転する、よく分からない時代物だった。三幕目は藤十郎の藤娘。四幕目は吉右衛門の石…

国立劇場12月歌舞伎公演

菊五郎劇団による遠山桜天保日記の通し狂言だ。ごぞんじ遠山の金さんである。大詰はもちろん北町奉行所のお白洲での遠山裁きだ。そしてもちろん「おうおうおう、この桜吹雪が目にへえらねえか」と片肌を脱ぐ菊五郎。下手人の松緑は「市中引き回しの上、打ち…

吉例顔見世大歌舞伎・昼の部

歌舞伎を見るときには、かならずロビーで「筋書」を買い、あらすじをじっくり読むことにしている。歌舞伎はストーリーを熟知しているほうがはるかに面白いという演劇だ。自分にとって歌舞伎は観るというより、眺めるという感じなのだ。 大相撲も観戦するとい…

吉例顔見世大歌舞伎・夜の部

今日は外国人が多く、ロビーでは英語やフランス語も飛び交っていた。一階の前から4列目あたりに身長2メートルはあろうかという白人のおじさんが席をとっている。真後ろの人はさぞかし今日の己の不幸を呪ったにちがいない。しかし、そのおじさんも迷惑になら…

花形歌舞伎 夜の部

もちろん目玉は菊之助の政岡である。海老蔵の仁木弾正も松緑の細川勝元もこの演目では二の次だった。ロビーではお母上の富司純子さんをお見かけした。 菊之助の政岡は戦後最年少の初演だという。今回は玉三郎に稽古を見てもらったらしい。その玉三郎は歌右衛…

芸術祭十月大歌舞伎・夜の部

「本朝廿四孝 」十種香の序盤、菊之助の勝頼から目を離すことができなかった。単眼のオペラグラスを握り締めて見入る見入る。目を伏せて八重垣姫と濡衣の様子をうかがう様は息を呑む美しさ。若衆好きの旗本にでもなった気分である。序盤の玉三郎は声を意図的…

芸術祭十月大歌舞伎・昼の部

じつは菊五郎は2003年に61才で人間国宝になっている。他には富十郎、藤十郎、芝翫、雀右衛門、又五郎、田之助の6人だけだから、菊五郎がいかに若くして人間国宝になったか驚く。その菊五郎の魚屋宗五郎は地のままかと思ってしまうほどこなれている。きっと江…

新秋九月大歌舞伎・昼の部

また歌舞伎にいったのである。場所は昨日とおなじく新橋演舞場で、こんどは昼の部だ。だしものは「源平布引滝」と「枕獅子」。「源平布引滝」は若手歌舞伎といってよい配役だ。あいかわらず海老蔵がじつにきれいだ。本当に生身の人間なのかを確かめるために…

新秋九月大歌舞伎・夜の部

ブログを始めて半月もたたないうちに更新が止まってしまった。じつはテレビゲームのモンスターハンターポータブル2Gにはまっていたのである。村で受けれるクエストのレベル2まで終わった。遊び方を覚えたという程度であろうか。この一週間のプレー時間は36時…

秀山祭九月大歌舞伎・夜の部

歌舞伎ファンにとってこの9月は大変な月になる。歌舞伎座では芝翫、吉右衛門、玉三郎、福助、松緑。新橋演舞場では時蔵、亀治郎、海老蔵。三越劇場では橋之助、孝太郎。赤坂ACTシアターでは勘三郎ファミリーに扇雀だ。 芝居小屋は4ヶ所だが、歌舞伎座と…