二月大歌舞伎・昼の部


今日は早稲田高校の課外授業と同席だった。1階奥と2階席のほとんどを学生服が占めていた。立派な観覧態度だったし、ロビーでもしっかりしていた。その中の1人でも歌舞伎を好きになってくれれば嬉しいと役者衆も思ったはずだ。その一方で、加茂堤どころか二人道成寺でも大鼾をかいて寝ていたおばさまが近くにいた。さすがに二人道成寺の半ばで後ろ席の着物のおばさまから小突かれて起き、前の席に人には睨まれ。ボクも思わずアカンベをしてやった。この人、ホントに何を見にきたのだろう。1階席は1万6千円もする切符なのだ。

賀の祝は、なにか皆の衆で淡々と演じられているような感じの舞台だった。橋之助の桜丸の自害で白太夫左團次が淡々としている。大向こうも出場していないようだし、お昼前なのだから、これはこれで良いのかと思う。その中で扇雀芝雀のコンビが光っていた。

二人道成寺、まずは「舞尽くし」で巳之助が本日の当たりくじ。平均点というところか。家内は4日に見に行ったのだが、その日の梅枝がとても良かったとのこと。今日は萬太郎が当たらなかったのでほっとして笑っていた。誰に当てるかは團蔵がその時の気分で決めるらしいのだ。

ともあれ、主役のお二人はなんとも美しい。良い意味で玉三郎玉三郎を舞っている。菊之助は歌舞伎の花子を舞っている。二人ともほんとうにキレイだ。日本人に生まれて良かったと感じる演目だ。

文七元結は江戸から明治にかけて活躍した三遊亭円朝の人情噺である。5世菊五郎からの音羽屋のお家芸である。じっさいに、笑った、泣いた、楽しんだ。もちろん菊五郎は主役だし完璧だが、時蔵がすばらしい。ぴったり息のあった夫婦役をつとめていた。菊之助の生真面目な役作りもピリッとしてちょうど良い。この人は芝翫に通じる「形を重んじる」感じがあって素敵だ。

最後に数分間だけ吉右衛門が出てくるのだが、意味不明である。興行主が播磨屋の名前が欲しくてチョイ役を引き受けたのだとしたら悲しいことだ。その体力を温存して、もっと夜の弁慶につぎ込むべきだと思う。