戦艦三笠と稠密感


船舶模型を作るのは人生初だ。日露戦争日本海海戦で活躍した戦艦「三笠」のプラモデルである。ネットで「HIGH-GEARed」さんという方の制作記を発見し、これだけの手引きがあれば自分もできるかもしれないと着工したのだ。手馴れた人だと2日目という感じの工程に至るまで1ヶ月も掛かっている。写真を撮るにしても、とてもアップに耐えられない。これからミリ単位のエッチングパーツの手すりなどを取り付ける工程に入ることになる。

つくづく日本人はこのような稠密感が好きなのだと思う。昨年のNHK大河ドラマ篤姫」のヒットの原因は主役の宮崎あおいの好演によるところもあるのだろうが、この稠密感にもあったと思う。大奥の話だからほとんどが室内での撮影だった。そのためいつもより多くの予算を衣装に回すことができたのかもしれない。ハイビジョン化された画面にこれでもかと美しい着物が乱舞した。

民放のスタジオセットもケバケバしいながら稠密になってきているような気がする。ハイビジョン化によってもたらされたこの稠密感の加速は、店頭陳列法や商品開発にも影響をもたらすであろう。消費者の目が慣れてくるからだ。ネイルアートの精緻化やスワロフスキびっしりの携帯など若い女性が先行しているのはいつものとおりだ。

日本でYahooのシェアが高いことはこのことに関係している。グーグルのシンプルさと比べると圧倒的にYahooも楽天もごちゃごちゃしているのだ。ドンキホーテ圧縮陳列も良く知られているが、これからは稠密感がさらに加速するような気がする。食品スーパーなどでは液晶プライスカードを即時対応性だけではなく、視覚的に陳列台を精密化するために使うという意識が必要になるかもしれない。

商品においても、たとえば数枚の自由曲面よりも多数の平面やメッシュやホールなどで構成した自動車を作れば売れるのではないか。パッケージにおいても、たとえば工場でミックスした五穀米よりも、五穀をそれぞれ子袋にいれ消費者が自由に調合するようなものがうけるかもしれない