八月納涼大歌舞伎 第ニ部


昨日はきつい一日だった。埼玉某所にて朝6時スタートの早朝ゴルフスループレーをしたあと、シャワーも浴びずに自宅にもどり、それから歌舞伎を見にいった。夏休みならではの日程だ。

プレーをしたのはお気に入りの「○○ゴルフ倶楽部」だ。丁寧にメンテナンスされていて、気持ちの良いコースだ。何よりも安い。自宅から1時間で到着するのだが、メンバーとはいえ昨日はなんと4085円だった。平日もビジターでもも8000円代で回れるのだから、予約がなかなか取れない。

さて、歌舞伎は納涼3本立ての第2部だ。実質2時間2幕、怪談「累ケ淵」と船弁慶である。そもそも平成2年まで8月歌舞伎はなかった。平成5年から3部制になっていまにいたる。8月は勘三郎の舞台なので、観客も「勘三郎系」だ。

怪談なのだが「累ケ淵」で客席は開幕から笑う気満々である。歌舞伎座では珍しいのだが、盛大な拍手で幕が開く。幕開きでの下座音楽も台詞も聞こえない。舞台が始まり、顔に醜い腫れ物ができた豊志賀から逃れようと倒れる新吉。なぜか場内後方は大爆笑だ。ドタバタ喜劇として受けているらしい。勘三郎の狙いどおり歌舞伎座に新しい客を呼び込むことができたのであろう。

これだけ大拍手だと後方客席では台詞などはまったく聞こえないはずだと心配したのだが無用だった。イヤホンガイドが500円で貸し出されていて、台詞はイヤホンから聞いていたらしい。音羽屋が江戸の粋だとしたら、まさに中村屋平成中村座だ。これでよいのだと思う。これで客が増えてくれば、歌舞伎はさらに100年はもつ。

しかし、累ケ淵は特に見るべきところはなかった。だらだらとお話はすすみ、なんとなく終わる。ところで、新吉はお久と寿司屋の2階で語りあうのだが、そこへ豊志賀の幽霊があらわれる。逃げる新吉、捨て置かれるお久。芝居はお久に触れることはなく終わる。工夫のしようがありそうな脚本だ。

2幕目は船弁慶である。まずは福助義経と松也など4人の家臣の背が高い。それに対して弁慶は中背の橋之助だ。そこへ勘三郎静御前が現れる。これでだいたい姿はよしとなるのだが、上手から大中小で並ぶことになる。静御前の舞は誰がやっても眠い。

そこへ本日お目当ての三津五郎の舟長の登場だ。いやはや踊りがうまいのなんの。素晴らしいの一言。勘三郎の知盛もさすがである。若々しく力一杯の舞台だったので、10年後の勘三郎知盛も楽しみになった。

ところでこの半月ほど、結構な数の本を読んでいる。審査員を引き受けているBizTech図書賞の候補作はだいたい読み終わったが、当然ながら当ブログでは書評できない。今年の候補作には本当に面白い本が多い。そのうちの1冊は稀有な面白さで、当ブログで褒めちぎりたいのだが、発表まで候補作であることすら公表できないのが苦しい。

それ以外にも、お引き受けてしている各雑誌の書評欄用の本も読んでいる。雑誌掲載前にはブログには書かないで欲しいという担当者の意図はよく判るので、これらの本の書評も書けない。ご存知のとおり、当ブログは読書日記ではない。お勧め本の紹介を旨とするので、じつはかなりつらい。というわけで、書評では少し柔らかい本が続くことになりそうだ。