五月大歌舞伎・昼の部


ゴールデンウィーク中はゴルフとプラモデル作りに明け暮れていた。しかし、ゴルフは全く上達していないし、プラモデルもどれ一つとして完成していない。そこで、ひさしぶりの歌舞伎である。菊五郎チームがやっと歌舞伎座に帰ってきた。ホントに「待ってました!」なのだ。なんだか嬉しくて涙がでそうだ。

「暫」で海老蔵の権五郎景政は妙に手馴れた風情だ。とはいえ、姿はもちろんだが、声がともかく大きくてよく通っていた。「加賀鳶」の勢揃いもそうだが、今月のお昼は、大音声が客席に満ちる舞台だ。左團次がお疲れ気味。「暫」の芝居自体は全体として締りがない。端的に言って緊張感がないのだ。これは今日だけのことかもしれない。

つづいて舞踊が二つ続いた。富十郎の「猩々」と芝翫の「手習子」だ。ちいちゃいおじいさんがそれぞれに踊る。それぞれは素晴らしいのだが、いくらなんでも小屋と役者の都合に合わせただけの番組という感じだ。ところで、最近では富十郎には鷹之資がいないと物足りないと思ってしまう。

「加賀鳶」は待ってましたの菊五郎による江戸世話物だ。勢揃いと盲長屋のあと、質屋の場面で寝そうになった。しかし、赤門前では大笑い。やっぱり菊五郎はすばらしい。時蔵はじめみんなリラックスしていて、緊張感がない。こちらの緊張感のなさは「暫」のそれとは異なり、褒め言葉だ。

最後は菊之助松緑の舞踊だ。いくら菊之助ファンでも、この舞踊は無用だと思う。一巴太夫が聞けたからいいか。