秀山祭九月大歌舞伎・夜の部
歌舞伎ファンにとってこの9月は大変な月になる。歌舞伎座では芝翫、吉右衛門、玉三郎、福助、松緑。新橋演舞場では時蔵、亀治郎、海老蔵。三越劇場では橋之助、孝太郎。赤坂ACTシアターでは勘三郎ファミリーに扇雀だ。
芝居小屋は4ヶ所だが、歌舞伎座と新橋演舞場は昼・夜別の出し物だから実際は6公演。歌舞伎座などでは昼夜ともに途中の食事時間をいれて4時間半かかるので、9月の歌舞伎を全て見物すると、まる24時間かかることになる。
とりあえず、歌舞伎座夜の部を見物してきた。「近江源氏先陣館」は大阪冬の陣で東西に分かれて戦った真田信之、真田幸村兄弟の物語を題材としている浄瑠璃だ。荒事好きなので、本筋にはほとんど関係ないのだが松緑の信楽太郎がかっこよかった。
「鳥羽絵」は富十郎とお子さんの鷹之資の舞踊。富十郎は絶対に80歳に見えない。体だけでなく表情もきらきらと動いていて、いやはやすごい。
「河内山」は河竹黙阿弥の代表作のひとつ。黙阿弥の七五調が大好きなので見たかった演目だ。が、松江邸広間の場では半分しか記憶がない。けっして役者が悪いのではない。4,5回も主役がキセルを吹かさなければならないほどののんびりとした演出のせいであろう。