吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎・昼の部+夜の部
12月の歌舞伎座の一等席は15000円だが、京都の顔見世は同じ一等席で25000円もする。
昼の一幕目は愛之助と孝太郎の舞踊だ。まあ良い。二幕目は巨大な船のセットが舞台上で回転する、よく分からない時代物だった。三幕目は藤十郎の藤娘。四幕目は吉右衛門の石切。脇役が手堅い感じだ。吉右衛門は普段どおり。最後は玉三郎と仁左衛門の「ぢいさんばあさん」である。海老蔵は出てきたが、すぐに切られていなくなった。玉三郎も出てきたが、すぐにばあさんになった。もちろん仁左衛門はじいさんになった。切ない話なのだが、ばあさん役の玉三郎がよろけるたびに客席から笑いがおこる。この客席では笑いが哀愁に優先する。5時間近くかけて、東西の役者がどんどん出てきて、おもいおもいに演じた。
夜の一幕目は傾城反魂香だ。ここでは翫雀が可愛らしく好演していた。大石最後の一日は吉右衛門である。普段どおり。紅葉鬼揃は玉三郎作の舞踊で今回が二回目。玉三郎が気持ち悪い京劇風の鬼になる。最後の源氏物語は同じく玉三郎作の舞踊で今回が初演である。六条御息所の生霊に扮した玉三郎が青暗い照明のなかでのそのそ歩き回る舞踊だ。マイクを持って歌い始めるのかと思うほど大衆演劇っぽい演出だ。東西の役者がどんどんでてきて、こんどはほとんど動きもない。
関西の観客はこのような歌舞伎がお好きなのであろうか。もし、そうだとすると関西で歌舞伎が廃れた理由が充分に理解できた舞台だった。