8月2日に買った本

8月2日にHONZに投稿したのだが、本ブログに張り付けるのを忘れていた。以下、再掲である。ちなみに数日後には9月2日に買った本という記事を投稿する予定である。なぜ毎月2日なのかは自分でも良くわからない。

リストから実際に書評を書いたのは『イスラム飲酒紀行』『南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議』だ。そのうちに雑誌などに登場することになる。

書評にしにくいが、トイレに常備されたのは『リーマン侍』だ。数ページ完結の面白読み物。現代と江戸の架空の物語を対比させながら、江戸言葉を解説するという体裁だ。本文もさることながら、イラストがバカバカしく面白い。いやこの本はホントおススメです。

届いた『ガロワ正伝』をみたら横書きだった。数学者の伝記だから当然かもしれないが、やはり手が遠のいてしまう。ネット上の読み物は横書きでなんの不自然さも感じないのだが、本になると読みにくくて仕方がない。

『砂』は期待どおりだったが、こりゃあ時間がかかる。拘置所や刑務所に入っている人に差し入れたい本だ。地質学、民話、数学、現代アート、吸血鬼まで「砂」の文化誌だ。内容は膨大であり、しばし目と手を休め、思いを馳せてながら読むべき本だ。

拘置所といえば新潮社のPR誌『波』9月号のトップは村木厚子さんのインタビューだ。164日も拘束されていた拘置所内で読んだ『ローマ人の物語』について語っている。村木さんが紹介する塩野七生の言葉がじつに興味深いので孫引きしてみる。「改革の主導者とはしばしば新興の勢力よりも旧勢力の中から生まれてくるものである」日本人はこの数年間でそれを自己責任のもとに体感した。

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東えりかさんが、HONZメンバーによる「8月のこれから読む本」をまとめてくれているが、今回も面白そうな本だらけで悔しかったので、これとは別にあらたな本を仕入れたのである。予想してない反撃をされたHONZメンバーの悔しがる姿が目に浮かぶというものだ。愉快である。今回はなぜその本を選んだのかについて少し紹介してみよう。

『リーマン侍 江戸語の世渡り』はタイトルで買った。このタイトルは歌舞伎に馴染のある読者へのゴキブリホイホイだ。弁天小僧の台詞「しらざあ、言って、聞かせやしょう」で有名な、通称「白波五人男」という演目は「青砥稿花紅彩画」というふうに文字で書き、その読みは「あおとぞうし はなの にしきえ」なのだ。つまり歌舞伎の演目というのは体言止めで5-7、7-7というようなリズム刻むのだ。

リーマン侍 江戸語の世渡り

リーマン侍 江戸語の世渡り


『ぼくはどんなふうに生きるのだろうか』は著者の経歴で買った。1996年 慶応義塾大学理工学部大学院計算機科学専攻 博士号を取得。2002年 遺伝子解析のベンチャー企業であるHuBit Genomix社にて疾患関連解析の研究開発に従事。2006年 Stanford大学客員研究員としてバイオインフォマティクスの研究開発に従事。現在、理研ジェネシス社にて研究開発に従事し、2010年よりJSTさきがけの大挑戦型プロジェクトとしてパーソナルゲノムに関する研究を進めている。

ぼくはどんなふうに生きるのだろうか―ゲノムが解き明かす自分さがし

ぼくはどんなふうに生きるのだろうか―ゲノムが解き明かす自分さがし


イスラム飲酒紀行』は紹介文で買った。ブーハ、アニス酒、ベルベルウイスキー、イランの「ドブロク」、ラク、シャハバ・ワイン、アラク…etc.酒を禁じるイスラム圏でも、これだけの地酒が存在する―イスラム圏における飲酒事情を描いた“爆笑”ルポルタージュ

イスラム飲酒紀行

イスラム飲酒紀行

『肥満は進化の産物か?』は書評が書きやすいのではないかと思って買った。じつはいま糖質制限ダイエット中なのである。半月で3キロ落とせたし、体調もすこぶる良い。もし、本書が面白ければ、その体験を導入部に持ってこれると踏んだのだ。

肥満は進化の産物か?: 遺伝子進化が病気を生み出すメカニズム (DOJIN選書)

肥満は進化の産物か?: 遺伝子進化が病気を生み出すメカニズム (DOJIN選書)

『京の公家と武家』は価格で買った。750円なのである。Amazonによれはこの商品のサイズは20.6 x 14.8 x 0.4 cm とのことだ。

京の公家と武家 (立命館大学京都文化講座 京都に学ぶ)

京の公家と武家 (立命館大学京都文化講座 京都に学ぶ)


南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議』はボクのオールタイムベスト10の一角である『チェンジングブルー』から得た知識を強化してくれるかもしれないと思い買った。「地球全体の海の底を、冷たい水が2千年かけて循環しています。この水は地球全体の気温や降水、さまざまな気象現象に密接に関わっています。温暖化で極域の氷が溶けると、海水位の上昇だけでなく、海洋の循環も止まってしまう可能性があり、そうなると地球規模の気候変動が起きてしまいます」とのこと。

SUPERサイエンス 南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議

SUPERサイエンス 南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議

『ナポレオンのエジプト』はタッシェン25周年記念のウルトラお買い得図録『ナポレオンエジプト誌』の解説版として買った。本書は読んでみなければわからないが、タッシェンの図録はとんでもないお買い得なのだ。もう絶版だけどね。

ナポレオンのエジプト―東方遠征に同行した科学者たちが遺したもの

ナポレオンのエジプト―東方遠征に同行した科学者たちが遺したもの

『写真・ポスターに見るナチス宣伝術』HONZ食客のハマザキカクの共産趣味者に触発されて買った。全体主義のアートはその主張の如何を問わず、アートの1分野として独立して存在していると思う。

『知っておきたい100の木』はアマゾン・レビュアーのコメントを見て買った。トイレにおいておきたい本だとのこと。いまわが家のトイレには『色』『キリスト教美術辞典』『江戸の用語辞典』『広辞苑の中の掘り出し日本語』が装備されている。

知っておきたい100の木―日本の暮らしを支える樹木たち (シュフノトモベストブックス)

知っておきたい100の木―日本の暮らしを支える樹木たち (シュフノトモベストブックス)

『ガロワ正伝』は書き下ろしなのだろうか。文庫にしてこのなんともシュールな表紙デザイン。そもそもガロアのファンだからつい買ってしまうのだが、価格はなんと1260円である。じつのところ、同時に到着したら真っ先に読みたい本である。

ガロワ正伝: 革命家にして数学者 (ちくま学芸文庫)

ガロワ正伝: 革命家にして数学者 (ちくま学芸文庫)

『砂』はそれだけでロマンである。もうタイトルだけで買ったのであるが、じつは本書は米国自然史博物館のジョン・バロウズ賞受賞を受賞しているのだ。予断してはいけないのだが、おそらく8月のナンバー3に入る本であろう。

砂