Sonny Clark / Sonny Clark Trio

SONNY CLARK TRIO

SONNY CLARK TRIO

CDが終焉期を迎えつつある今、逆にレコード(AD)が盛り返している。3大レーベルと呼ばれる、Blue Note、Prestige、Riverside からリリースされた名盤だけでなく、「こんなのまで再発しちゃうなんて、一体何枚売れると思ってるんだろう?」と余計な心配までしてしまうようなマニアックなレコードまで、結構コンスタントに再発されている。

ここ数年再発されているJAZZのレコードは、おしなべて「重量盤」が売り文句。その昔は、140gでも重量盤って言ってたのに、今は200gもある。そりゃ、軽いペラペラのレコードよりは重い方が音がいいような気もするが、重くしなきゃ売れない訳でもあるまいし、もういい加減行き過ぎでしょうと言いたくもなってくる。因みに、200gもあるオリジナル盤を私は知らないし、どんな化粧をしようと再発ものが初盤を上回ることはない。

それに、重いせいなのかどうかはわからないが、最近の再発ものは売値が高いのだ。国内盤で3,000円後半台。安値安定しているCDでさえ売れていないのに、レコードをこんな価格設定にするなんて、まさかCDを売るための戦略なんじゃなかろうかと勘ぐってしまいそうだ。これじゃ、新しいレコードファンを獲得できる訳もなかろう。JAZZを売る側が、自分で自分の首を絞めているように思える。

という訳で、これからレコードでJAZZを楽しもうと思ってくれる皆さんには、中古レコードを買うことをお薦めしたい。中古レコード店のエサ箱は宝の山だ。エサ箱漁りをする時には、ストンストンと音を立てないように見ることと、他の人が見ている脇から手を出さないのがマナー。この決まり事には50年の歴史がある。

今回は、Sonny Clark / Sonny Clark Trio を紹介しよう。レーベルは Timeで、1960年の録音。同名のアルバムが Blue Note レーベルから出ている。こちらもお薦めなのだが、このアルバムとは印象が全く異なるプレイなのでお間違えなきよう。彼はいわゆるジャンキーだったせいで、 1963年に31歳で他界してしまった。日本人の琴線に触れるのか、彼のピアノプレイは演歌になぞらえ「ソニクラ節」と呼ばれている。反面、アメリカ本国での評価が低いから面白い。日本では Blue Note の看板ピアニスト、ハードバップの申し子のように扱われることが多いが、もともとのスタートは西海岸だった。

(JHS-JAZZ 山田)