Johnny Coles / The Warm Sound

THE WARM SOUND

THE WARM SOUND

JAZZのレコードやCDを選ぶ時は、是非「パーソネル」をチェックして欲しい。「パーソネル」とは、そのアルバムに参加している演奏メンバー、即ち「サ イドメン」と呼ばれる共演者達のこと。共演している演奏メンバーや、楽器の編成によっては、同じリーダーのプレイでも随分聴いた感じが変わってくる筈。こ れがJAZZの面白いところだ。

常に新しいJAZZの先駆者であり続けたマイルス・デイヴィスは、新人発掘の名人でもあった。彼が求める新しいJAZZスタイルを実現するためには、既存 のプレイヤーではなく、マイルスが逆にインスパイアされるような新しい人材が必要だったのだ。そしてマイルスによって発掘された新人プレイヤー達は、間違 いなく次世代のJAZZを担っていくことになる。その意味では、マイルスは教育者だった訳ではなく、強いリーダーシップを持った経営者であったとは言えな いだろうか。

50年代中頃のハードバップ時代のジョン・コルトレーンに始まり、50年代後半のモード時代のビル・エヴァンス、60年代中頃のウェイン・ショーターハービー・ハンコック、そして10代で抜擢されたドラマーのトニー・ウィリアムス。60年代後半からは、ジョー・ザヴィヌルチック・コリア、キース・ ジャレット。そして、その他のサイドメン達もその後の歴代の超一流プレイヤーばかり。

モダンジャズ ー クールジャズ ー ハードバップ ー モードジャズ ー エレクトリックジャズ ー フュージョンと、時代に先駆けた音楽表現の実現さ せ続けたマイルス。マイルスに見いだされるべくして見いだされてきた新人達の共演なくしては、彼が求め続けたどの新しいスタイルも実現できなかったことだ ろう。

マイルスを通して聴くことは、JAZZの歴史を通して聴くことに等しいのかもしれない。私と言えば、実はマイルス・デビューは遅かった口だ。なんせ、あま のじゃくなもので。

今回は、Johnny Coles / The Warm Sound を紹介しよう。レーベルはEpicで、1961年の録音。ほのぼのと明るく、朗々としながら小気味よく、いい意味での軽さがこのレコードでのColesの 良いところ。親しみやすい好内容のワン・ホーン・カルテットの名盤である。大胆に言ってしまえば、彼のリーダーアルバムはこれ一枚持っていれば十分かもし れない。Epicには、こういった燻し銀のような名盤が多い。私は、このレーベルのJAZZらしからぬ音作りが好きだ。

(JHS-JAZZ 山田)