Modern Jazz Gang / Miles Before and After

マイルス・ビフォー・アンド・アフター

ここ数年、幻の名盤と呼ばれるレア盤が、CDとレコードで併発でリイシューされることが多い。幻が再発されてしまうと、幻ではなくなってしまうのだが、その音源を入手できずにいた人にとってみればありがたい話ではある。

CDはそれなりにプレス枚数も多いようで、数年前のリイシュー盤でも、探せば新品でも中古でも入手できるようだ。とえいえ、次のリイシューがあるかどうか怪しいので、見つけた時に入手したほうが賢明というもの。

国内で再発されるレコードは、申し合わせたように、①予約限定プレス　②オリジナルに忠実なカバー仕様　③200gの重量盤が売り文句で、値段もCDの2 倍近くする。予約しそびれてしまうと、数年後に中古市場に出てくるまで待つしかない。海外で再発された輸入盤は、円高の恩恵なのか国内盤に比べると3割方安い上、国内再発盤に比べれば新品で入手できる期間が長いようだ。

幻たる条件は、①中小レーベルからイシューされたレコードであること　②オリジナルレーベルがすぐ潰れたこと　③もともとのプレス枚数が少なく殆ど市場に出回らなかったこと　④国内盤が出なかったこと　⑤再発されたことがないか、再発されたにせよどうせ売れないと思われて、プレス枚数が少なかったこと　⑥ スイングジャーナル誌の臨時増刊号「幻の名盤読本」「新・幻の名盤読本」掲載されたというか、要はジャズ本に幻として紹介されたことがあること・・・などなど、これらの条件を満たすほどレア度が高くなり、探す人も多くなって結果相場が上がるという図式が成り立つ。

幻がオープンにされてしまったことによって、入手できなかった盤が入手しやすくなったりはするのだが、知る人ぞ知る盤を密かに所有する喜びを半分奪われてしまったように思うコレクターもいるだろう。他人に教えず独占したいと思うことは人間の性だと思いたい。

今回は Modern Jazz Gang / Miles Before and After を紹介しよう。レーベルはAdventure。このレコードが存在することは知っていたものの、オリジナル盤を入手するまでカバー写真さえ見たことがなかった。つまり、私が知っている範囲では、マスメディアに露出したことがない、私の大事な大事な楽しみだったのだ。みんな知らないのだから再発したって売れないだろうに。なにもこんなレコードまで再発しなくたっていいじゃないか。