Barney

Barney

Barney

1982年にCDが誕生してから27年。じつは私は一度はレコードからCDに乗り換え、その後さらにCDからレコードへ乗り換えた口である。とはいえ、それはもう20年以上前の話。

手持ちのレコードを処分してCDに乗り換えた理由は単純明快。場所を取らない、軽くて薄い、片面終わってもひっくり返さなくていいから。新譜はCDでしかリリースされなくなっていたし、レコード針が買えなくなるとかいう話もあったりしていた頃だ。高いお金を出して買ったレコードを傷付けたくなくて、買ったらすぐにカセットテープにダビングして、ドルビーのノイズリダクションがかかった寝ぼけた音で聴いていた若者には、非接触で減らない上、長時間明快な音で聴けるプラスティック・ディスクはこの上なく魅力的な円盤であった。

私がレコードに嵌まったきっかけは、オーディオに凝り始めて、年がら年中機器を取っ替え引っ換えするような、オーディオ屋さんのいいお客さん(鴨ともいう)だったある日、粗大ごみとして捨てられていたレコードプレーヤー付きのシステムコンポ(CDラジカセコンポとか呼ばれていた気がする)を拾って持ち帰ったきたことだ。当時は、CDがメインソースの分不相応なハイエンドシステムを使っていたが、捨てられていたコンポはリビングで聴くBGM用にちょうどいい具合だった。「いつも部屋にこもって音楽ばっかり聴いて、私と音楽とどっちが大事なわけ!?」とか怒られ続けていたし。

ある日、押入れにあった彼女の紙袋の中に、エリック・クラプトンの「スローハンド」のLPレコードがあるのを見つけた。ちょうどそのCDをロック好きの会社の後輩から借りていて、メインのシステムで聴いていたところだったから、面白半分、やっぱりレコードなんてダメだよなって思うつもりで、拾ってきたレコードプレーヤーをメインシステムのプリに繋げてかけてみたのである。

・・・唖然とした。耳がおかしくなったのかと思う程、シスコンのおまけのプレーヤーでかけたレコードの方がいい音だった。あの時の「WonderfulTonight」のイントロのギターの音は今でも忘れない。

ちょうど、JAZZのCD(オーディオ誌に載っている優秀録音もの)が増え始めていた頃だったので、早く買わないとレコードがなくなってしまう強迫観念に駆られながら(最初は本当にそう思っていた)、それからは毎日のように中古レコード屋に通って、ジャズの本に載っている名盤の類を買い始めた。国内出張先でも、 海外出張先でも、夜は必ずレコード屋を探してエサ箱を漁っていた程。OJCの新品が、国内盤の中古より安く買えた頃だったので、当初それが再発盤とも知らずに喜んで買い集めていた。OJCはOriginal Jazz Classicsの略で、Fantasy社がリリースしている傘下レーベル(Prestige、Riverside、Contemporary、etc) の再発復刻盤シリーズ。OJCが私にJAZZを教えてくれた。

今回は、私が初めて聴いたヨーロッパJAZZのレコードを紹介しよう。Barney Wilen/Barney。1959年、パリのクラブ・サンジェルマンでのライブ録音。熱いだけでなく、パリのエスプリとインテリジェンスを醸し出しているような若きBarneyの独特なハードバップ。お洒落でCool。これのオリジナル盤の音はすごいですよ

(JHS−JAZZ 山田)