ボクはどんな電子書籍を読むのだろうか

死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国

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ピアノ・ノート

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平左衛門家始末 浜松・竹山一族の物語

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インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日

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資本主義と農業―世界恐慌・ファシズム体制・農業問題

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電子出版・電子書籍の未来予測や各社の戦略分析については専門家に任せよう。また、雑誌や新聞についても考慮しない。あくまでも自分はどの「装置」を買って、どのような本を読むであろうかについて書いてみたい。

<紙の本>
紙の本は買い続けるであろう。本は物欲と無縁ではない。書かれている情報だけではない価値が本にはある。たとえば小学館の『日本の歴史』全集などは本棚に並べておくだけで幸せになる。装丁が美しいからだ。ここ数年の単行本では『死都ゴモラ』『ピアノ・ノート』『平左衛門家始末』『インパラの朝』『資本主義と農業』あたりの装丁、とりわけ背表紙が好きだ。もちろん内容も申し分ない。

第2に『コンテナ物語』『眠れない一族』などのノンフィクションは紙で買う。かなりの頻度で本棚から取り出して引用したりするからだ。そのためには紙の本が良い。本の真ん中あたりに何か面白いことが書いてあったのだが、それが何であったかを忘れてしまったという状況がたまにある。つまり検索ワードすら思い出せないこともあるのだ。そこで資料性のある本は紙で買う。ノンフィクションの新書の大半も同様である。

第3に人生に影響を与えてくれた本、励まされた本、癒してくれた本は本棚に祀る。もはや本棚というよりも知の神棚である。

Kindle>
Kindleは日本語版が出たら買う。小説が第1のコンテンツとなるであろう。小説にはカラーは不要だし、ランダムアクセス性がない。バックライトがないから感情移入がし易いはずだ。それどころか小説は紙ではもはや買わなくなるかもしれない。10.2オンスということは290グラムくらいだから、厚めの文庫本と同程度の重量だ。ソファに寝転がって読むとすると、ページめくりも楽だし、ホールド性も本よりはるかに良いはずだ。

Kindleの第2の用途は100円であれば読んでみたいという文字中心の本だ。案外ここに大きな市場があるかもしれない。たとえば文藝春秋のバックナンバーの記事「立花隆による田中角栄の金脈研究」などが1本30円だったら買いたい。とはいえ、Kindleの画面まわりの額縁の厚みが気になる。もう少し薄くならないものだろうか。「いまどき?」という感じがして、デザイン的にはショボイ。

iPad
iPadは無条件で買う。書籍として第1に期待しているのはビジュアル系の新書と美術シリーズだ。前者の例は創元社の『知の再発見』双書やソフトバンク・クリエイティブの『サイエンス・アイ』新書などである。双方ともカラー写真を多用しているし、章ごとに内容が独立していることが多い出版物だ。後者の例は小学館の『アート・セレクション』シリーズや青幻舎のビジュアル文庫シリーズなどである。不思議なことにiTunes上のコンテンツはデジタルデータであっても、物欲の対象になってしまう。そのため、この類のシリーズは売れるに違いない。

第2に期待しているのは専門書ではない一覧性のあるビジネス書だ。たとえば『「イスラムマネー」がわかると経済の動きが読めてくる』などだ。ただ今まさに欲しい情報を本から抽出し、ネット上から関連情報を探すためである。本というよりもiPhoneiPadアプリである。

<読まれなくなる本>
どの媒体で読むのかの判断が難しいのは、たとえば『ツイッターノミクス』だ。情報として有用なのは、せいぜいここ数年であるから、紙の本を保存する必要はない。いっぽうで、1冊を熟読するというよりも、ざっと斜め読みして、面白そうなところに戻って、少し深く読むという感じだから、パラパラめくれる紙の本が良い。電子化が進むと、結果的にこの類の紙の本は売れなくなるかもしれない。


<具体例>
『BORN TO RUN』ノンフィクションだが一人称視点であり、厚い本なのでKindle

BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族

BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族"

『家族の勝手でしょ!』100%iPadのように見えるが、素人写真がキタナイので紙。
家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇

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セレンディピティと近代医学』読了後、最低2回は引用のために引っ張り出しそうなので紙。
セレンディピティと近代医学―独創、偶然、発見の100年

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JAL崩壊』新書だけれど、本質的にはCAの内輪話だから300円以下で読みたい。Kindle
JAL崩壊 (文春新書)

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『不思議な経済大国中国』典型的な変化しつづける対象の「現在」を語る本なのでKindle
不思議な経済大国中国 日経プレミアシリーズ

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『石油国家ロシア』同じく対象は変化し続けるが、専門書として引用可能なので紙。
石油国家ロシア

石油国家ロシア

『知っておきたい有害物質の疑問100』右ページはベンゼン環だらけの本。iPad
知っておきたい有害物質の疑問100 (サイエンス・アイ新書)

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