Beverly Kenny

シングス・フォー・プレイボーイズ

シングス・フォー・プレイボーイズ

  • アーティスト: ベヴァリー・ケニー,エリス・ラーキンス,ジョー・ベンジャミン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/09/06
  • メディア: CD
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二人でお茶を +1 (紙ジャケット仕様)

二人でお茶を +1 (紙ジャケット仕様)

音楽ビジネス上、JAZZはとてもユニークなジャンルと言えよう。3大レーベルからリリースされた名盤など、これまで何度再発されてきたことか。レーベルの販権が移る度だけでなく、手を替え品を替え、半世紀も前に録音された音源がいまだにリイシューされ続ける。そんな音楽ジャンルなど他には見当たらない。とはいえ、これは殆ど日本だけのお話。

日本はJAZZ天国なのである。国内盤のレコードや、CDのカバーに付いてくる帯。これは "OBI"として世界で通用する単語だ。OBI付の日本盤レコードやCDは海外で人気が高い。OBIの有無で値段も変わってくる。国内よりも、海外の方がOBIの価値は高いかもしれない。

日本盤は、ディスクの品質がいい上、可能な限りオリジナルカバーを忠実に復刻しようとする。オリジナル盤にこだわらない海外のJAZZファンにとっては、日本盤の品質の良さは憧れの的。世界のJAZZリーダーは日本なのだ。とはいえ、これはコスメティック上だけのお話。

残念ながら肝心の中身の音は、海外の著名なエンジニアによるリマスター盤の方がいいようだ。海外のリマスター盤は、復刻盤ではなく、あくまで高音質盤(エンジニアの解釈によるリマスター盤)という位置付けなのである。外観に凝る日本、音に凝る海外。マーケットの違いなのか、国民性の差なのか、はたまたJAZZに対する考え方の違いなのか。

私はいくら高音質と言われてもリマスター盤には全く興味がない。勝手にオリジナル作品をいじるなんて、契約上の問題はないとしても芸術作品に対する冒涜ってもんじゃなかろうか。

国内盤のCDにありがちな別テイクというやつも同様だ。別テイクとは所詮お蔵入りの曲なのである。お蔵入りはお蔵に入れたままにしておけばよかろう。余程のファンでもない限り、別テイクが入ってなきゃヤダとは思うまい。別テイクで釣って国内盤CDを売ろうという安直な手法はもうやめて、海外並みの価格で売れはもっと海外アーティストのCDも売れるんじゃないかと思う。

洋書と違い、CDは輸入盤の方が間違いなく安い。今や地方の人だってamazonで簡単に輸入盤を入手できちゃう世の中なんだから。別テイクを出すなら、コンプリート盤や未発表の音源だけを集めたようなCDで出した方が、世のためJAZZファンのため。

今回紹介するのは、Beverly Kennyをあえて2枚。1枚は「Sings for Playboys」。レーベルはDecca。1957,1958年の録音。バックは、ピアノのエリス・ラーキンスとベースのジョー・ベンジャミンの2人。甘くて、ちょっとハスキーで、ちょっとせつない彼女の歌声は、シンプルなスモールコンボもので聴くのが一番。いろいろとお疲れの方に癒しのひと時を与えてくれること間違いなし。是非一度お試しあれ。1960年、28歳で他界してしまった彼女は、Roostレーベルに3枚、Deccaで3枚のレコードしか残さなかった。ご覧の通りの美人さんなので、昔から人気が高く、オリジナル盤はそれなりの高価格で取引される。

もう1枚は国内レーベルから出たCD、「二人でお茶を」。未発表のデビュー前のデモ録音である。他にももう2枚枚出ているようだ。私はこの「二人でお茶を」しか聴いていないが、このCDはとてもいい。蕩けてしまいそうだ。こういう未発表盤は、後世に残す価値がある。

(JHS-JAZZ 山田)