東洋経済1月30日号「ゴルフざんまい」
平成18年に総務省が行った社会生活基本調査によれば、30才代、40才台ともに、もっとも人気のあるスポーツはボウリングで、23%ほど人が参加しているという。50才代の第1位は登山ハイキングで13%だ。不思議なことに人は年をとると、いきなり室内のボウリングから山へと向かうのだ。
この調査によれば、わがゴルフは成人のほぼ全世代で2位だ。30才台では11%、40才台と50才台では12.5%、60才代では10%が参加しているという。ところがこの数字は男女合わせてものだから、男性だけに限るとゴルフの人気は30代以上の世代では非常に高いことがわかる。
いっぽう、社会経済生産性本部のレジャー白書によれば、ゴルフは1兆7200億円ですべてのスポーツの中で断トツに大きい。内訳はゴルフ場が1兆1500億円、用品が4200億円、練習場が1600億円だ。ちなみに第2位のフィットネスクラブの売上はゴルフ用品と同額の4200億円あまりである。
ところで、同規模のサービス業を統計局のサービス業基本調査で調べると、日本料理が2.3兆円、中華料理と美容業が2.0兆円、西洋料理は1.6兆円、すし屋が1.5兆円だ。たしかにクラブハウスで鉄火丼、チャーシューメン、ハンバーグ定食がメニューにあると産業規模順に人気であろう。ということは、ゴルフ場にエステや1000円カットなどを併設すると、意外と人気になるかもしれない。
数字を羅列したのには意図がある。このように人気があり、かつ大きなサービス業でもあるゴルフにだけは、ゴルフ場利用税という1人最大1200円もの税金が課せられているからだ。
ゴルフ税は昭和25年に施行された娯楽施設利用税の名残である。娯楽施設利用税はパチンコ屋や麻雀荘にも課されていたもので、いまではゴルフ場だけに名前を変えて残っている。この税金を新設するときの当局の説明のなかには、ゴルファーは担税力があるからというものがあった。しかし、いまではゴルファーの半数以上が年収700万円以下である。
それどころか、担税力のない国民はゴルフなど贅沢だから楽しんではいけないという理不尽、不平等な税金でもある。ちなみに国家公務員はたとえ自費であっても、利害関係者とゴルフと麻雀をしてはいけないという規則がある。つまり利害関係者でも、自費であればボウリングや登山はできるのだ。
これらの税制や規則を作った昔のお役人たちは、お金持ちの利害関係者と高級ゴルフ場で賭けゴルフでもやり、良い目にあっていたのであろう。ともあれ、ゴルフ場利用税の廃止は経済政策からみても妥当であると思うのだ。