Chris Connor Sings Lullabys of Birdland

バードランドの子守唄

バードランドの子守唄

レコードと呼ばれる円盤の歴史は古く、その出現は今から120年程前にまでさかのぼる。メディアの材質が変わり、記録情報量が変わり、再生方式や、再生機器が変わっても、音楽情報が記録されているメディアは、DISCの形状が最も普及している。

最初のアナログレコードは、SP盤と呼ばれる。SPとは Standard Play の略で、回転数は1分間に78回転。主材質はシェラック樹脂だが、磨耗しやすい上、割れやすく重かったため、化学技術の進歩に伴って後に塩ビに置き換わっていく。直径は10インチ(25cm)が主で、収録時間は片面で最大約3分弱。レコードは茶紙か、アルバム状のケース(レコードカバーの先祖みたいなもの)に入れられて販売されていた。

そして、1948年にCOLUMBIAレーベルからLP盤が発売される。LPとは Long Playの略で、回転数は1分間に33-1/3回転。材質が塩ビなので、英語ではVINYLとも呼ばれる。直径は12インチ(30cm)が主で、収録時間は片面で最大約25分。レコードが、レコードカバーに入れられた状態で販売されるようになる。同時に、レコードカバーアートの世界が生まれることとなる。

1949年にはRCA VICTORレーベルからEP盤が発売される。EPとは Extended Playの略で、回転数は1分間に45回転。材質はLPと同じ塩ビ。直径は7インチ(17cm)で、収録時間は片面最大約5分弱。日本では、シングル盤あるいはドーナツ盤とも呼ばれていた。もともとEP盤は、ジュークボックスで使用される前提で開発されたため、センターホールの穴が大きかったのである。当初は、ミニLP仕様的なのレコードカバーに入れられていたが、音楽産業の発展とともにより簡略化されていく。

この他にも、16回転のもの、7インチで33 1/3回転のもの、12インチで45回転のものなど、いろいろあるのだが、上記の3形式が基本となる。

アナログディスクは、CDに淘汰されることなく生き続けている。CDがDVDやBlurayに置き換わっていっても、ADはレガシーでありながらも生き残るだろう。音楽を聴く、音楽を楽しむという行為においては、デジタル方式がアナログ方式を完全に網羅できていないのだから。AD方式時代の旧譜は、再発ものでもいいからレコードで聴いてほしい。予算が許せば、コンディションのいいオリジナル盤を。時代の真実がそこにあるから。

今回は、Chris Connor Sings Lullabys of Birdland を紹介しよう。レーベルは、Bethlehem。New Yorkでの録音で、26歳の時の歌声。スタン・ケントン楽団から独立後のデビュー盤である。彼女が唄ったこのタイトル曲は、日本でもかなりヒットしたらしい。10インチLPでリリースされた後、カバー写真を換えて12インチLPでもリリースされた。カバー写真は、バート・ゴールドブラットが撮影した10 インチ盤の方が断然いい。私は、この写真を見るだけで、このレコードを聴いた気になってしまう。彼女がBethlehemの残したレコードは必聴すべし。残念ながら、先月29日に81歳で他界してしまった。

(JHS-JAZZ 山田)