Don Sleet / All Members

All Members

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最近では、Susan Boyle が話題となったイギリスのオーディション番組「Britain's Got Talent」。これまで、Paul Potts, Connie Talbot, Andrew Johnston らがCDデビューしている。

うだつの上がらなそうなおじさん、6歳の女の子、自閉症っぽい13歳の少年。唄い始めた途端、会場の雰囲気が一変する。 You Tubeで、彼らの番組予選での歌声を聴いた時には鳥肌が立ち、6歳の女の子の唄にはつい涙してしまった。とにかく、予選での彼らはピュアだった。

極度の緊張もあったのだろうか、決勝での彼らの歌声にエモーションを感じることは出来なかった。それでも私がその会場にいたならば、惜しみない拍手を送ったことだろう。つい、彼らのCDを買ってしまった位だ。6歳の女の子のConnie Talbot のCD も買ってしまった。

ところがである。期待して買った筈のCDがとにかくつまらない。作為的でしかない。素人のピュアさもパッションも何もかも消え失せている。すっかり彼らの良さがスポイルされてしまっているのだ。彼らは、早々とアイドルでしかなくなってしまった。最早、音楽もアーティストも所詮は売らんかなの商品でしかないのだ。現代の音楽ビジネスはかくも非情なものか。

JAZZも音楽ビジネスの産物であるが、1960年代以降はその座を他のジャンルに追われ長く冷遇されてきた。2008年のグラミー賞で、Herbie Hancockの「River:The Joni Letters」が最優秀アルバム賞を受賞したが、ジャズ・ミュージシャンの受賞は1964年以来43年ぶりの事件だった。

「River」のCDも一応買って聴いてみたのだが、悪くはないけどとしか感じなかった。私が、気持ちよく楽しめて、素直に COOL! って思えるのは、やっぱり60年代以前のJAZZしかない。商根丸出しの音楽聴かされるなら、騒音もどきの70年代のフリージャズ聴く方がまだましなように思う。

今回は、Don Sleet/All Members を紹介しよう。レーベルは、JAZZLAND。1961年、NYでの録音。彼のリーダーアルバムはこれ1枚きり。すごい男前なんだけど、Chet Baker みたいな甘いマスクじゃないから、アイドルには成れなかった人。彼自身は、成りたくもなかっただろうと思っている。

(JHS-JAZZ 山田)