「ゴルフは耳と耳の間でするスポーツ」 週刊東洋経済7月4日号 ゴルフざんまい掲載
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- 発売日: 2009/06/29
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もちろんホールごとに攻略法を考える必要がある。帰ってから自分は本当にゴルフに向いているのだろうかと、とっぷり考えてしまうこともある。ともかく、考えることが好きなスポーツだ。
本当に考えるスポーツなのか、本の出版点数を調べてみた。じっさい、練習に励むよりも本を読む人の数が多いように思えたからだ。まずは日本のアマゾンで、スポーツのジャンル別出版点数を調べてみた。
野球は二つのサブジャンルに分類されている。野球・ソフトボールとプロ野球・メジャーリーグだ。つまり、する野球と見る野球の2つに分類されているわけだ。この2つを合わせた出版点数は2624点である。
野球に続く人気スポーツはサッカーだ。野球と同様、サッカーとJリーグに分類されている。合計は1478点だ。この2大スポーツ以降はマリンスポーツ・水泳の914点、テニスの781点、陸上競技675点、スキー・スノーボードの536点と続く。プレー人口や人気とほぼ比例しているような気がする。
ところが、わがゴルフはなんと4788点もあるのだ。少なくともアマゾンは、野球とサッカーを合わせたよりも多くのゴルフ本を認識していることになる。
売れている順に本のタイトルをくっつけてみよう。いまゴルファーが読みたい本は「パターが面白いように入るようになり、普通のサラリーマンでも2年でシングルになり、DVDもオマケで付いている本」だ。いささか無理があるような気がする。
しかし、ゴルファーは「なぜゴルフは練習しても上手くならないのかがわからないし、ゴルフクラブ選びが間違いだらけだったのかもしれない」と悩んでいる。とはいえ「ゴルフは突然うまくなることもあるし、練習嫌いはゴルフがうまい!」などと甘い言葉もかけてほしいのだ。
ところがじっさいは「書斎のゴルフ−読めば読むほど上手くなる教養ゴルフ」とだんだん体は重くなり、ついには「ゴルフで老いる人、若返る人」に及んで、ここが人生の分かれ目と切羽つまることになる。
いやはや、ゴルフは本当に耳と耳の間でするスポーツなのだ。じっさい、頭脳産業の最たる文壇でも丹羽文雄、小林秀雄、川口松太郎、柴田錬三郎、水上勉、城山三郎など錚々たる作家がゴルフにいそしんでいた。このあたりは三好徹の『文壇ゴルフ覚書』に詳しい。