Bill Evans and Jim Hall / Undercurrent

アンダーカレント [HQCD]

アンダーカレント [HQCD]

JAZZの楽器編成は多岐に渡る。同じ楽器編成、同じメンバーでの演奏であっても、その形態はリーダーを取るプレイヤーの名前を冠する。これはJAZZのユニークな点。ロックは、メンバーを募って結成、解散を繰り返すバンドとしてのチームワーク的音楽だが、JAZZは、リーダーが必要とする楽器演奏者を、目的に合わせてその都度雇用する個人的音楽と言ったらわかりやすい(かえってわかり難い?)だろうか。

楽器編成という観点で考えると、JAZZとクラシックは共通していると言えよう。

Solo。独奏。ソロアルバムと称して、全く一人で演奏されたレコードがあるのは、JAZZとクラシック位なもの。ロックやポップスで、一枚のアルバム全てが無伴奏の曲で構成されているレコードは皆無。メロディーとコード(和音)が一度に弾けるピアノ、ギターのソロアルバムならともかく、ベースやドラム、サックスのソロアルバムなどもあるにはあるが、流石に1枚まるまるは飽きるので好んで聴きたいとは思わない。

Duo。2人編成なので、必然的にレコード名義も2人並列の双頭(ダブル・リーダー)アルバムとなる。プレイヤーの個性と個性がぶつかり合う緊張感と、インタープレイ(即興演奏の応酬)による相乗効果から、後に名盤と評価されるレコードが多い。組み合わせも、ピアノ・デュオ、ギター・デュオ、ピアノとギター、ピアノとベース、ピアノとサックスやトランペット、ピアノとフルートやクラリネット、ピアノとドラムやパーカッション、ギターとベースと多岐に渡る。

Improvisation(即興演奏、Ad Libはラテン語)という観点でも、JAZZとクラシックは共通している。スコアでがちがちと思われるクラシックだが、カデンツァでは演奏者の真の力量が問われるなんて、とてもJAZZ的ではないか。

今回は、United Artistsレーベルからリリースされた、Bill Evans and Jim Hall / Undercurrentを紹介しよう。1962年NYでの録音。ピアノとギターの2人が絡み合うプレイは優美で耽美、冷たく、熱い。アメリカの写真家 ToniFrissel lの Weeki Wachee Spring が使われているカバー写真のイメージ通りの内容。2人は、3年後に再び相まみえ、Verveレーベルから Intermodulation というレコードをリリースした。こっちはもうちょっとリラックスした感じ。

(JHS-JAZZ 山田)