InnoCentive

http://www.innocentive.com/

イノセンティブとはイノベーションインセンティブを掛け合わせた造語だ。この会社は製薬会社であるイーライリリーの社内ベンチャーとして2001年に設立された。顧客はイーライリリーだけでなくP&G,ダウケミカル、デュポンなどのグローバル企業だ。

イノセンティブはこれらの企業から研究開発のテーマを募集する。もちろん有料であり、テーマをだした企業がそれを負担する。解決策を提案するのは学者、学生、企業内の研究者・開発者などさまざまな個人である。つまり、この会社は研究開発という商品の市場を作ったのだ。

テーマを提示する企業も、解決策を提案する個人も匿名でよいところがミソだ。ライバル企業の研究者が解決策を提案しているかもしれないし、自社の開発者が解答を出しているのかもしれない。企業はそれぞれのテーマにたいして自社で研究開発した場合よりもかなり安い賞金を提示するので、自社の技術者が解答を出しても構わないはずだ。

いくつかの例を見てみよう。ビジネスの分野で現在募集中は「ガン治療の治験期間の短縮法」に1万ドル、化学では「極小の熱膨張体」に2万5000ドル、食品分野では「パンの品質を長期間維持する方法」に4万ドル、数学では「2次元データのクラスタリングアルゴリズム」に1万5000ドルなど多数のテーマが賞金とともに提示されている。

なかでも面白いテーマだと思ったのは、水中にあるときにその部分だけが色が変わるより優れた物資を探せだ。これができれば、濡れているか否かを光学的に判断することができる。道路や建材だけでなく、ライフジャケットなどのアパレルにも使えそうだ。これで3万ドルだと安いかもしれない。