Wes Montgomery / Full House

FULL HOUSE-KEEPNEWS COLLE

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1910年代のニューオーリンズが発祥の地とされているJAZZ。100年の歴史を持ち、今や音楽史として体系化されているジャンルである。宗教が歴史的変遷をたどりながら様々な宗派に派生していくがごとく、JAZZは時代に合わせてその姿形を変えながらも、脈々とそれぞれ確立されたJAZZスタイルを維持している。

「どんな音楽聴いてます?」と問われ、「JAZZとか」と答えてしまうと、楽しく語り合える筈の音楽の話題が煮詰まってしまうことがある。悲しいかな、JAZZがどういう音楽なのか果たしてよくわかっていない人とでは、誰もが(?)名前位は知っているマイルス・デイビスあたりが出てきたところでJAZZについての話題は終わってしまいがち。 JAZZ聴くって言っても、なんでもござれって訳でもないからなぁ・・・なんとも説明しにくいったらありゃしない。名前だけじゃなくて、マイルスがどういう類のJAZZをやってきたのか概ね知っていてくれたりしたら、いつのマイルスが好き?とか、カインド・オブ・ブルーの音ってさとか、話のネタには困らないのに。

「一口にJAZZと言っても、これがまたいろいろありましてね。ディキシーランドもジャズだし、フリージャズとかもありますけど」などとJAZZについて語り始めたら、もういっぺんに興ざめされてしまいそう。「だからJAZZって訳わかんない」と拒否反応を示されかねない。JAZZは長い歴史とその範疇が広過ぎるが故に、妙に誤解されてしまってもつまらない。

私でさえ、流石に「もろ」ディキシーは退屈だし、「もろ」フリーは疲れるからあまり聴かないし、聴けない。でも、「もろ」でさえなければ、このあたりのJAZZもそれなりに聴く。メインで聴くのは、やはり50's〜60'sのJAZZ。昔は聴くのが辛かったレコードでも、改めて聴き直してみると抵抗感がないどころか、いつの間にかお気に入りの仲間入りになったり。アバンギャルドも時間が経ってしまえば、クラシックになってしまう訳だし、ディキシーだって、ディズニーランドで聴けばやっぱり楽しい。

今回は、Riversideからリリースされた「Wes Montgomery / Full House」を紹介しよう。1962年のライブ録音。60年代前半のJAZZの大名盤。彼は親指1本でメロディーラインを奏で、彼独特のグルーブを生み出す。オクターヴ奏法と合わせて、彼がJAZZギターのスタイルを確立したようなものだ。老若男女、紳士淑女、坊ちゃま、お嬢様、誰が聴いても、「JAZZっておしゃれ」と思ってくれるに違いない。彼は譜面が読めなかったらしい。

(JHS-JAZZ 山田)