■
『異常気象の正体』
- 作者: J・コックス,東郷えりか
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/06/21
- メディア: 単行本
- クリック: 12回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
このグループについては、落ち着いた日本語と手堅い翻訳で好感を持っている。その翻訳者のなかでも東郷えりか氏が手がけた翻訳書は偶然にも全て読んでいるようだ。数万年の時間スケールで変動する地球の気候についての書籍が多い。
『異常気象の正体』は大陸移動説を唱え、地球科学に革命を起こしたヴェーゲナーによる二十世紀初頭の仕事から、現在の地球科学者たちの仕事までの記録である。科学者たちは極寒のグリーンランドで二千メートルを越える穴を掘り、地球の過去を調べる仕事を通じて、地球の未来を予測する。
巷では京都議定書効果で二酸化炭素による地球温暖化と世界各国での異常気象の因果関係が取りざたされている。しかし、本書によれば地球が温暖化するにせよ、氷河期に向かうにしろ、そのメカニズムははるかに複雑で謎に満ちているものらしい。
訳者あとがきから抜粋すると「温暖化が引き金になって降水パターンが変わりだし、地球の軌道要素をはじめとする幾多もの条件があいまって、『原因より速く』気候の大変動がもたらされる可能性」があるというのだ。
その幾多もの条件の中には核爆弾など人為的な要素もあるに違いない。核の冬という言葉を金正日は知っているのだろうか。死に際に北朝鮮が地球滅亡の引き金を弾かないことを祈るばかりだ。