『アメリカの原理主義』

アメリカの原理主義 (集英社新書)

アメリカの原理主義 (集英社新書)

11月6日付けのクリスチャントゥデイを読んで驚いた。米国福音同盟の副会長がオバマの当選を受けて「福音主義者として私たちは私たちと同意をしない人々と協力していく方法を学んだ」と表明したとのことだ。本当にアメリカは変われるのかもしれない。本書はその福音主義について詳しい。

本書によれば2004年12月のニューズウィークの調査で55%のアメリカ人が「聖書にあるすべての記述は、文字通り正しく実際にあったことであると思いますか」という問いに「はい」と答えている。この時点ではアメリカ人の半数以上が福音主義者でありキリスト教原理主義者候補といってもよいのだ。

聖書にはハルマゲドンが示されている。ハルマゲドンは善と悪との最終戦争であり、キリストが再臨し、1000年王国を作ることになる。そしてその戦場はエルサレムであるとされているのだ。そのためにアメリカはあらゆる無理を押して、エルサレムイスラエルを死守しているのであり、ユダヤ人のロビー活動の結果だけではない。驚いたことに上記のニューズウィークの調査で15%のアメリカ人が自分が生きているうちにハルマゲドンがくると信じているのだ。

アメリカで妊娠中絶と同性愛が大統領選挙で最大の争点の一つになる理由はこうだ。「神は自らに似せて人を作った。だから、人は神がつくりたもうた体を自分の勝手にすることはできない。したがって自殺も同性愛も、ましてや中絶はできないのだ。」

アメリカ人の2割は天動説を信じているし、進化論はまやかしだと思っている。大統領選挙の結果を見て分かるとおり、アメリカは赤い中世と青い現代がまだらに存在する国なのだ。