夏休み用に買った本 第4部 6冊

8月中に買った本の紹介はこれで最後である。合計43冊だ。じっさいは100冊以上買っているのだが、本ブログに適さないものなどは除外した。ほとんどが新刊本であり、フィクションは一冊もない。こんな調子だから、古典や文学などを読む暇などあるわけもない。やはりボクにとって読書は単なる娯楽であり、道楽なのだ。

地球最後の日のための種子

地球最後の日のための種子

『地球最後の日のための種子』
本書は雑誌または新聞の書評で取り上げる予定である。北極圏の凍土の地下に「地球最後の日のための貯蔵庫」と呼ばれるものがあり。そこには300万種の作物の種子が保存されているのだという。その施設がなにゆえに必要なのか、その施設を作ったのは誰なのか、なぜバイオ企業や発展途上国と対立するのか。読みどころが満載だ。文藝春秋翻訳部門は9月上旬にもこの分野でもう一冊だすらしい。絶好調。

2020年、日本が破綻する日 日経プレミアシリーズ

2020年、日本が破綻する日 日経プレミアシリーズ

『2020年、日本が破綻する日』
このたぐいの本はめったに紹介しない。半年や1年で結果が見えることが多いからだ。事実は小説よりも奇なりのごとく、現実は意外にも高速度で変化する。なにしろ現実は小沢政権が誕生しそうな勢いである。前著の『世代間格差ってなんだ』も読んだのだが、あえて本ブログでは紹介しなかった。しかし、本書を紹介する理由は別のところにある。帯で中曽根康弘が推薦しているのだ。著者は1974年生まれ。1918年生まれの大勲位が推薦するにはそれなりの理由があるはずだ。それを知りたい。

ウォール街の歴史

ウォール街の歴史

ウォール街の歴史』
いかにも売らんかなという作りの翻訳書だ。帯には「投資家・金融業界関係者必読」「経済・金融がこの1冊でわかる」などというコピーが並ぶ。ここまで売り文句が並んでいるところをみると、普通はあまり期待できない。ところで、日本史や世界史の世界では大判のカラー図版本が売れている。本書はウォール街史の図版本として読めるかもしれない、と手にとってのだ。

鉄砲を手放さなかった百姓たち 刀狩りから幕末まで(朝日選書)

鉄砲を手放さなかった百姓たち 刀狩りから幕末まで(朝日選書)

『鉄砲を手放さなかった百姓たち』
半分くらい読んだ。テーマも内容もたいへん面白いのだが、こなれた歴史読み物ではなく、生乾きの論文といった風情だ。歴史雑誌を定期購読している程度の人であれば違和感はないかもしれない。江戸時代、百姓は武士よりも多くの鉄砲を持っていた。江戸時代のアウトローたちは鉄砲で武装していた。近世史においては歌舞伎などをイメージしながら読む人も多いはずだ。もう少し遊びが欲しかった。


ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

『ビジネスで一番、大切なこと』
このたぐいの本もめったに読まない。どれも言っていることはほとんど同じだからだ。本書を手に取った理由は「まえがき」にある。著者は大学時代に読んだファインマンの『ご冗談でしょう、ファインマンさん』を引き合いにだす。そして、研究者には2つのアプローチがあるという。第1は複雑な現象を取り上げて、そこから不要なものを取り除くパワーポイント的アプローチ。第2は思いもよらない方向から微妙なニュアンスを積み重ねてゆくファインマン的アプローチ。本書は後者のアプローチで書いたのだという。どれ、読んでみるか。

情報と通信の文化史

情報と通信の文化史

『情報と通信の文化史』
書物復権2010年の1冊だ。6000円である。高価だが妥当である。4大文明、古代ローマ、唐・インカなどの4大帝国、仏英の駅制、中世ヨーロッパ、ハプスブルグ家とタクシス郵便、アメリカ独立から西部開拓、弥生時代から現代までの日本。ともかくあらゆる「情報と通信」について、とてつもない量の情報を集積している。情報と通信のエンサイクロペディアだ。日本人はこんな本を同胞が書いたことに誇りを持つべきかもしれない。明日、無人島に流されることになり、一冊だけ本を選べと言われたら本書を躊躇なく選ぶであろう。まるまる1年はたっぷり楽しめるであろう。広い意味での「情報と通信」研究に一生を捧げた研究者の人生を読むがごときでもある。