夏休み用に買った本 第2部 11冊

夏休み用の本の紹介、第2陣である。まだ2−3週間ほども暑いそうだから Clic&Read で良い夏休みをどうぞ。

群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法

群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法

『群れのルール』
本書はすでに読了した。非常に面白かった。本年の経営学読み物ナンバーワンの第1候補である。生物学のパートも経営のケーススタディのパートも内容豊富で、じっくりと書きこまれている。土方奈美の翻訳も素晴らしい。ある月刊誌の書評でとりあげる予定なので、紹介はここまでにしておこう。これ一冊だけでも良い夏休みになるであろう。「即買い」推奨である。

実録 江戸の悪党 (学研新書)

実録 江戸の悪党 (学研新書)

『実録 江戸の悪党』
歌舞伎ファンであればの条件付きで「即買い」推奨だ。舞台の主役たち、田宮伊右衛門河内山宗春、日本駄右衛門のモデルたちの実録が要領よくまとまられている。それ以外に直助権兵衛、白子屋お熊、鼠小僧、雲霧仁左衛門由井正雪などなどの江戸の悪党たちがどんどん登場する。江戸時代を描いた小説を読む気力はないが、江戸時代にすこしだけタイムトリップしたい人におすすめだ。

ゼロから始める都市型狩猟採集生活

ゼロから始める都市型狩猟採集生活

『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』
要するに東京の路上生活者のルポである。この人たちはかならずしも、訳知り顔のバラエティ報道番組が糾弾する「自由主義経済」の被害者ではなさそうなのだ。巨大都市は自然の生命力に溢れたジャングルのようだ。ひるがえって生きる意味を考えさせてくれる。間違いなくこれから話題になる本だと思う。本書もある雑誌の書評欄で取り上げる予定である。

数になりたかった皇帝――漢字と数の物語

数になりたかった皇帝――漢字と数の物語

『数になりたかった皇帝』
ともかくタイトルがすばらしい。店頭で手に取ってみない「本好き」はいないであろう。帯には「史上空前の帝国の君主は、なぜ自ら”数”となり、後継者にも”数”となることを命じたのか?」とある。もし「皇帝みずからが数になる」というだけの本であれば、牽強付会系素人研究者歴史本と認定してしまいそうだ。しかし、後継者まで含めているからこそ期待が持てる。とりあえず買ってみようと思う本だ。

ミミズの話

ミミズの話

『ミミズの話』
まだ目次しか読んでいない。その目次を眺めると「ミミズが語るパンゲア分裂」「ミミズの死骸はどこにある」「恐るべきセルフヒーリング」「ミミズはワサビが嫌い?」「巨大オレゴンミミズ」「巨大コンポスターの開発」「バイオソリッドの畝を」などなど、魅力に溢れた言葉が並んでいる。科学読み物ファンが目をそむけることができない一冊であろう。ダーウィンの生涯最後の研究テーマはミミズだった。

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

『音楽嗜好症』
本書のタイトルもヤバい。脳神経学と音楽に興味のある人にとっての「ゴキブリホイホイ」だ。ただし、かなりびっしりと書かれている本なので、読了までには時間がかかることが予想される。突発性音楽嗜好症、音楽誘発性癲癇、蝸牛失音楽症、音楽サヴァン症候群共感覚、音楽とトゥレット症候群、パーキンソン病と音楽、音楽と狂気と憂鬱、ウィリアムズ症候群認知症音楽療法などなど、このゴキブリハウスには目もくらむような餌がばら撒いてある。

『「裏」を見通す技術」
元警視庁捜査第1課刑事が書いた本だ。副題は「刑事のマル秘情報収集法」とある。立ち読みで買ってしまった。「今日は息子の誕生日なのに、取り調べで家に帰れないことを容疑者にそれとなく知らせ、同情をかって「落とす」ところ」を読んでしまったのだ。クサすぎる。そんなことあるわけないじゃないか。なので買ったのである。夏休みの刑事物語である。

ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)

ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)

『ヒトはどうして死ぬのか』
ざっと見た感じではアポトーシスに関する入門書のように見える。しかし、アポビオーシスについても触れているようだし、単なる入門書では終わらない印象をもったので買ってみた。この類の本は読んでみなければわからない。全ての分野の入門書にレベルがある。入門1から入門5まで、それぞれ1冊を効率よく読むことができればベストだ。本書がアポビオーシスの入門2くらいだったらうれしい。アポトーシスについては入門5じゃないと困る。

飢えたピラニアと泳いでみた へんであぶない生きもの紀行

飢えたピラニアと泳いでみた へんであぶない生きもの紀行

『飢えたピラニアと泳いでみた』
副題は「へんであぶない生きもの紀行」この類の本も読んでみなければわからない。経験上、針小棒大系、あまりに異常系、だらだら記述系、などが容易に想像できる。幼稚園のときにジュールベルヌにハマったお爺さん探検家、小学生のときにコナンドイルにハマったオジさん研究者、中学生のときにダイアン・フォッシーにハマった自然ライターのどれかだ。ちなみに著者は3番目である。

ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え

ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え

『ロストシティZ』
20%まで読んだのだが、どうしても臨場感が得られない。アマゾン探検の本であり、夏休みに最適だと思ったのだ。ブラッド・ピットが映画権取得して主演・プロデュースをするという物語のネタ本だ。帯には「探検市場、最大の謎を追え」とある。けれどもなかなかアマゾンの真ん中にいる気分になれないのだ。文章が上手すぎるのだ。あらゆることを手際よく説明できる能力があるため、なんでもかんでも説明し尽くしながら物語が進み、そこには驚きも恐怖もない。超絶技巧をもつピアニストが、かなずしも人気があるわけでないのと同様だ。とはいえアマゾンファンは必携だ。

サクセス―鉄屑はロマン

サクセス―鉄屑はロマン

『サクセス‐鉄くずはロマン』
出版社は牧歌舎だから、ほぼ間違いなく自費出版である。自費出版本まで買い漁るとは自分でも呆れるのだが、じつはこの本かなり面白い。住友商事で鉄スクラップを取り扱い、米国企業にヘッドハントされ、海千山千の業界で生き抜いていく。現在68歳。自らを「世界1の鉄屑マン」と言い切る。もちろん著者には会ったこともないが、相当カッコ良いビジネスマンだ。鉄屑の写真がキレイである。本の作りもじつに丁寧。カバー裏まで凝っているのは自費出版の証であろうか。虚心坦懐に本と向き合うと出会える本である。