Jackie McLean Quintet

ザ・ジャッキー・マクリーン・クインテット

ザ・ジャッキー・マクリーン・クインテット

今年こそは上手い嘘ついてやる!と、毎年、 3月28日位から意気込んで4月1日を迎えるようにしている。今年といえば、また見事に自沈してしまった。私は4月1日に限って、上手い嘘、いや嘘自体がつけないのだ。どうやら、私の脳内にある「気の利いた嘘をパッと思いついてサラッとつく回路」が4月1日だけ停止してしまうらしい。日本では、年度始めのめでたい日なのだろうが、悶々としながら一日を過ごす羽目になる私にとって、エイプリルフールとは、それはそれは辛気臭い日なのだ。「それじゃ残り364日はいつも上手い嘘つけてる訳?」というツッコミには、「そん なこたぁござんせん。そんな賢い頭があるなら、もっと上手い文章を書けるに決まってんだろ、てやんでぃ、べらぼーめ」と開き直るしかない。

以前、これに似て非なる開き直りをとある廃盤レコード店の番頭さんから受けたことがある。

廃盤店にせっせと通う客にとっては、その店のグレーディングは重要な要素、その店への信用の基準だ。オリジナル盤の場合は、わずかなコンディションの違いで大きく売値が変わってしまう。店のグレーディングの基準は、店主や担当者が決めるのだから、店が違えばグレードのアロアンスが異なるのは当然だし、やむを得ないこと。この店は甘い、この店は厳しいと、客が店を判別(グレーディング)すればいいだけ のことだから、大した問題ではない。

ある店で、盤質N+と表記されていたレア盤を買う気満々で検盤したところ、どうひいき目にみてもN-(N+の2段階下、N+/N/N-の順)。失望感混じりで、「ちょっとグレーディングがいい加減じゃないの?」とクレームをつけたら、「この盤はレアだし、きれいなものなんてないから、この盤であればこれで N+」と開き直られてしまった。
レコード単位でグレードのアロアンスを変えるなんて、私には断じて許せない反則技である。グレーディングは、単なる「モノ」のコンディションを表す尺度に過ぎないはず。実は、反則したくなる気持ち はわからんでもないのだ。それはそれ、これはこれ。ならぬものはならぬで、どんな事情があろうと、尺度に一方的な意図を加えてはならないと思う。私は、その後二度とその店に行くことはなかった。だから、どんなレア盤でも見知らぬ人からは買わない。

今回は、Jackie McLean Quintetを紹介しよう。レーベルはAd Lib。1955年、ニューヨークでの録音。Miles Davis / Dig(Prestige)でデビューしてから4年後、24歳で出した初リーダーアルバムである。泣きのアルトで名を馳せたMcLeanが泣き始めた頃、 若くって、元気ハツラツ、爽やかGROOVE感が堪能できる好アルバム。カバーの絵から「猫のマクリーン」として知られている。Jubileeレーベルか ら再発された時のハロウィンのフクロウのような絵を「猫の絵」だと思っている人がいるようだが、Ad Lib盤のオリジナルカバーこそが「猫のマクリーン」。

(JHS-JAZZ 山田)