「強すぎる韓国勢に学ぶことはできるか」 週刊東洋経済8月1日号 ゴルフざんまい掲載
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それにしても韓国人女子ゴルファーが恐ろしく強い。今年の全米女子オープンでは1位から13位タイの上位16人中9人が韓国人だ。9位タイから13位タイまでの8人に限っていえば、7人が韓国人ということになる。この中には韓国系アメリカ人のアマチュアもいるが、今後は韓国勢のみで優勝を競い合う可能性がある。
この傾向は5年ほど前からで、昨年の全米女子オープンでもイン・ビー・パークが優勝し、19位タイまでに7人の韓国選手が入っていた。
2005年の優勝者はバーディ・キムだ。じつはこれを受けて、日本ツアーで8勝していた高又順プロが「5年後には日本ツアーに出る選手の半分が韓国人選手になるよ。」と産経新聞で予言していたが、実際に起こったことはそれどころではなかった。全米の半数以上だったのだ。
この韓国勢の強さを見て、いくつかのことを学ぶことができる。第一は、強いゴルファーは意思的に作りだすことができるということだ。ある特定の人を強くするという意味ではない。
韓国の現状を見ている限り、何千人という人が本気になって打ち込むと、そのうちの何十人かは世界のトッププロになれる。ひとりの天才を探してくるよりも、底辺を大きくするほうが、トップのレベルは確実にあがるらしいのだ。
第二は、育成には10年近い歳月がかかるということだ。1998年のパク・セリの優勝が韓国での女子プロ育成ブームにつながった。結果が出始めたのは2007年からだ。
米国のトーナメント・コースは3次元化しているという。バンカーや池などの地面にあるハザードだけでなく、意図的に展開させた枝などもハザードになっているらしい。距離もどんどん長くなり、これに立ち向かうためには尋常ならざる練習量が必要になってきている。
第三は、若者特有の直感である。最近のトーナメントにおけるグリーンの極端な難しさは、もはやラインを読みきり、そのとおり打つだけではボールはカップに入らないようだ。
今年の全米女子オープンで岡本綾子プロは「優勝する人はこのパットが入るのです」と言っていた。自分が優勝するという「妄信」を持てる若さが必要なのかもしれない。
それにしても、これほどまでに韓国勢だけが増えつづけると、韓国のイメージは大丈夫なのだろうかと心配になる。しかも、毎回優勝者がちがうとなると、勝ったのは個人ではなく、国ということになりやすい。圧倒的勝者は敵も作りやすいのでご用心とだけ言っておこう。これがもし日本人だったら、アラうれしやと踊っていたのだが。