John Coltrane / My Favorite Things

My Favorite Things

My Favorite Things

20世紀の初頭、ニューオーリンズで生まれたJAZZ。そのルーツは、黒人奴隷のスピリチュアルやゴスペル、ブルース、ブギウギ、ラグタイムブラスバンドなどの黒人音楽に、ヨーロッパの伝統音楽やアフリカの伝統音楽的要素がミックスされたものと言われている。

ニューオーリンズは、フランスの植民地だった。フランス人とフランス系白人と黒人の混血である一部のクリオールが特権階級として黒人奴隷を支配していた。 それは白人文化と黒人文化が自然な形で融合されていく土壌が備わっていたメルティング・ポットだったことを意味する。

JAZZは、アメリカの国家としての成り立ちに従い、多民族国家の中で生まれるべくして生まれた音楽スタイルでなのである。JAZZが誕生してから100 年。その黄金期と言われる1940〜50年代、JAZZに惚れ込み、JAZZの発展に寄与した外国人がいる。JAZZは、ユダヤ人、移民者と外国人によって創られた一面を持つ.


3大JAZZレーベルの一つ、ブルーノートを創設したアルフレッド・ライオンはドイツ人。彼の友人で、ブルーノートのカバー写真を撮り続けたフランシス・ウルフはユダヤ人。JAZZだけでなく、R&B、ソウル、その後ロックにまで進出したレーベル、アトランティックを創設したのはトルコ人のアーメット・アーティガン。彼らは、黒人アーティストを尊敬し、彼らの人格を認め、彼らに売上に応じた利益を供与した良識ある経営者であった。

外国人であったが故、人種差別の意識などなく、純粋に彼らの音楽を愛し、憧れを持ち続けたのだろう。2004年の映画「ターミナル」で、トム・ハンクスが演じた主人公ビクターがアメリカに来た理由を覚えているだろうか。

今回はJohn Coltrane / My Favorite Thingsを紹介しよう。録音は1960年、アトランティックからリリースされた。タイトル曲は、ジュリー・アンドリュースが映画「サウンド・オブ・ミュージック」で唄った名曲。JR東海の「そうだ 京都、行こう」キャンペーンのTVCFのBGMなので、知っている人は多いだろう。確か、コルトレーンのソプラノサックスが使われた年もあったような記憶があるのだが。

(JHS-JAZZ 山田)