安次嶺 悟 / フォー・ラヴァーズ

FOR LOVERS(フォー・ラヴァーズ)

FOR LOVERS(フォー・ラヴァーズ)

最近は、CDをかけることが多い。家族が寝静まった深夜に、溜まった新聞や本を読みながらの「ながら聴き」だ。CDをかけるなら、オーディオ的快感が得ら れるような優秀録音の新録ものじゃないとつまらない。音がいいとヴォリュームを上げてもやかましくないから、必然的にヴォリュームを上げてしまうことにな る。

大音量で満たされた部屋の中で、身体全体でリズムを感じながら「ながら」をしていると、いつの間にか眠ってしまうことが多い。これも、深夜にはレコードを 聴かない理由のひとつだ。目が覚めた時に、カートリッジの針がレコードの内周をトレースし続けているプップッという音を聞く羽目になるのは精神衛生上とてもよろしくない。

深夜の「ながら聴き」は、ピアノトリオものばかり。深夜に目で活字を追っている時はピアノがいい。ワンホーン・カルテットは「ながら聴き」の邪魔をするか らそぐわないのだ。ホーンの音色は、片手にグラス、隣に綺麗な女性が寄り添っているようなシーンで味わいたい。そういう機会は、自宅ではありえないし、幸 いなことに外でもとんとなくなってしまった。年甲斐もなく、ちょっと寂しいと思う時があるのは否定しないけど。

最近繰り返しかけているCDが「安次嶺 悟 / フォー・ラヴァーズ」である。2009年9月、芦屋のルナホールでの録音だ。私は彼のことを全然知らなかったのだが、あるブログの書き込みを見て入手してみたところ、もろにはまってしまった。内容もいいのだが、録音の良さが際立っている。

レコードやCDは、プレイヤーだけのものではなく、プロデューサー、エンジニアとの合作であることを今更ながら教えてくれるCDだ。「ながら聴き」用のピアノトリオとしては、以前紹介した「富樫 雅彦 / ザ・バラ−ド」と双璧を成す程気に入っている。

私は殆どテレビを見ないので紹介が遅れてしまったが、NHK教育テレビでやっている「スコラ/坂本 龍一 音楽の学校」(http://www.nhk.or.jp/schola/index.html)という番組で、5月はジャズが特集されている。ジャズのことをもっと知りたいと思う人にお薦めしておく。

(JHS-JAZZ 山田)