Dodo Marmarosa / Dodo's Back!

ドドズ・バック

ドドズ・バック

趣味と道楽。ほどほどにするのが趣味で、とことんやるのが道楽。世の中はどんどん軽薄短小化してきていて、今やモノを所有すること自体が重厚長大的でエコではない行為ということになってしまってきている。

レコードやCDを所有していなくても、音源をダウンロードしてHDDに入れておけば、確かにジャズは楽しめる。かくいう私もそういう楽しみ方をしていない訳ではない。正しくは、再生方式のひとつとしてそういう聴き方もしているということなのだが、行為自体は同じことだ。

我々は、軽薄短小を奨励することによって、モノの価値を自らおとしめてしまったように思う。モノ自体が持つパワーや、価値が見いだせないようなモノは、所詮後世に残ることなく消えていく。日本という国がそうならないことを願っているのだが、果たしてこれからどうなることやら。

私自身はモノを大切にする方だと思うし、地球環境問題はとても大事なことだと思うのだが、正直言うと、私は今のエコの風潮が好きではないのだ。車もしかり、オーディオもしかり。軽薄短小なモノは、便利なのだろうが、どうにもつまらないものが多い。趣味性が高かったモノ程つまらなくなってしまって、所有したいと思わせてくれる魅力を持ったモノがなくなってしまった。

相対的にモノの価値が下がったということは、趣味や道楽のレベルも下がったということになる。逆を言えば、その道の垣根が下がって誰しもがその道に入りやすくなったということだ。入りやすくなった分、新たな道が切り開ける時期は早くやってくる。

ジャズのフィールドは広い。広く浅くでも、深く狭くでもいい。興味があるのであれば、そのレベルを高めていってほしい。趣味が高じてこその道楽。大辞林によると、道楽という言葉には仏道修業によって得た悟りの楽しみという意味もあるらしい。

という訳で、レコードやCDは、新品でも中古でもかまわないから、一旦はモノとして所有しよう。データとモノでは、ものが違う。

今回は、Dodo Marmarosa / Dodo's Back!を紹介しよう。レーベルはArgo。1961年、シカゴでの録音。1925年生まれのDodoは、15歳でプロ入りし、40年代後半か ら50年代前半までCharlie ParkerLester Youngと共演、活躍していたBeBopピアニスト。音数は多くないのだが、タイム感が抜群で、独特のGROOVE感が素晴らしい。

このレコードは、50年代中期以降ほとんど活動を休止していたDodoのカムバックアルバム。昨年暮れの再発CDは、国内盤なのになんと1,000円なので、一食抜いてでも入手しておくことをお薦めする。Dodoは、ファーストネームでななく、ニックネーム。鳥のドードーから来ているらしい。

(JHS-JAZZ 山田)