Sarah Vaughan with Clifford Brown
- アーティスト: Sarah Vaughan
- 出版社/メーカー: Verve
- 発売日: 2003/11/11
- メディア: CD
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- アーティスト: DINAH WASHINGTON WITH CLIFFORD BROW
- 出版社/メーカー: LONEHILLJAZZ
- 発売日: 2009/04/22
- メディア: CD
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- アーティスト: ヘレン・メリル,クリフォード・ブラウン,ジミー・ジョーンズ,オスカー・ペティフォード
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2003/04/23
- メディア: CD
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デートの日には、ちょっとだけとか言いながら、彼女をレコード屋周りに付き合わせていた。国内出張ならともかく、海外出張でも、必ず現地のレコード屋を探し出し、とりあえず行ってみる時間を捻出するようにしていた。買い始めの頃にヨーロッパ各 国を回った時などは、訪れた先々でレコードを買い過ぎて、レコードを持ち帰るためのスーツケースを買ってしまったこともある。持っていないレコードを見つけた以上は、どこであろうと買うしかない。レコードが詰まったスーツケースは、それはそれは重かった。その当時は、別便で送ることなど思い付きもしなかっ たのだ。
国内盤しかないような中古レコード屋なら、1,000円台の安いレコードしかないから気軽にエサ箱をつつけるのだが、廃盤店ともなるとそうはいかない。最初のうち、廃盤店の敷居はそれはそれは高かったし、入り辛かった。壁面に飾ってある廃盤の金額に怖れをなしていた。
オリジナル盤など高くて手が出せないし、マニアだけのものだと思っていた。オリジナル盤1枚の金額で、国内盤が10枚買えるのであれば、余程そっちの方が 良かった。とにかくいろんな JAZZのレコードを聴いてみたかった。
1,000円台のレコードとはいえ、それなりの枚数になれば金額も嵩む。せっかくお金を出して買うのだから、少しでも綺麗な盤が買いたくて、試聴しなくて もそれなりに安心して買えそうな「新品同様」の表示のものばかり選んで買っていた。珍しい盤でコンディションがいいと、国内盤でも高かったから、だんだん コンディションが落ちるレコードにも手をだすようになった。国内盤ごときでは店主も気持ちよく試聴させてくれる訳ではないから、素人ながら真剣に検盤したものだ。そのうち、ノイズが出る傷と、出ない傷の区別がなんとなく付くようにもなってきた。
ある店で、この傷が針飛びしないか試聴させてもらったところ、見事に飛んでしまったことがある。貴重なお金を出すのだから、いくら欲しい盤でも針飛びする レコードを買うわけには行かない。その時はこれじゃ聴けないからいらないと断ったのだが、後からその店主が針飛びする傷に虫ピンで溝を切って飛ばないようにしているのを目撃してしまった。これを是とするか、非とするかは、店と、買う側それぞれのレコードに対する姿勢の問題だと思うが、私はその後その店には行っていない。他ではあまり見かけない盤が多くて魅力的ではあったのだが、信用できなくなったから。
今回は Sarah Vaughan with Clifford Brown を紹介しよう。レーベルは EmArcy。1954年、ニューヨークでの録音。 JAZZ VOCAL 史上に燦然と輝く大名盤である。A面1曲目の Lullaby of Birdland などは、誰しもが、いつか、どこかで一度位は聴いたことがあるのではないだろうか。Amazonでは180gプレスの再発LPも購入出来るようなので、レ コードプレイヤーしか持っていない人(なんていないか)もご安心あれ。
Sarahは、ビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルドと並ぶ、女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家のひとりである。その幅広い声域と豊かな声量を駆使 した歌唱力は、当時のファンから JAZZ VOCALIST に留まらない「The Singer」と称され、愛された。
EmArcy レーベルは、準メジャーと言える Mercury レーベルの中の、JAZZ 専門の傍系レーベルで、名前は Mercury Record Corporationの頭文字の音読みである M-R-C に由来する。EmArcy を興した Bob Shad が4年でレーベルを去ってしまい、実質的な活動が一時停止してしまったため、全盛期のカタログ数はそれほど多くないのだが、その殆どがモダンジャズ、ハー ドバップの貴重な録音、名盤ばかりなのだ。EmArcyには、Clifford Brownが参加したヴォーカルアルバムが3枚あるのだが、そのどれもが大名盤。残りの2枚、Dinah Washington with Clifford Brown と、Helen Merrill with Clifford Brownも是非聴いて欲しい。これからなら、散り始めの夜桜を見ながら聴くといい。
(JHS-JAZZ 山田)