御名残三月大歌舞伎・第3部


いよいよあと51日となった歌舞伎座に出かけた。菅原伝授手習鑑の道明寺と石橋(しゃっきょう)の2本立て。3部構成の第3部である。

道明寺は玉三郎秀太郎、孝太郎の女形だけの起、彌十郎歌六の承、我當と市蔵の転、仁左衛門の結という起承転結に、錦之助が綾を添えるという構成だ。それぞれに10点満点で点数をあえて付けると、8点、10点、9点、20点、10点である。20点というのはタイプミスではない。それほど仁左衛門がキレイで悲しかった。豪華4組の竹本陣も力が入っていて素晴らしかった。

とはいえ、歌舞伎座に行く前に評判を確かめすぎたのがいけなかったのかもしれない。多くの人がそれぞれのブログの中で高い評価をくだし、涙を流したと言っている。そのためか、観客席を含めた劇場全体を鳥瞰的に見てしまった感がある。つまり評論家のように舞台を見てしまったのだ。もったいないことをした。泣けなかったのだ。

石橋は豪華な舞台。9丁9枚の大長唄陣に14人の花四天。大音量をバックに、大柄な花四天がばしばしトンボを切る。富十郎は素晴らしいの一言。幼い息子の鷹之資が上手い。松緑錦之助も楽しかった。幸四郎も妙な工夫がなく良かった。やはりボクは派手で明るい演目が好きなのだとつくづく思う。

歌舞伎座の隣にあって文明堂が入っていた、松竹倶楽部ビルが完成していた。銀座4丁目への帰り道、王子製紙近隣のビルも完成していたし、その隣のビルも竣工が近いという感じだった。新歌舞伎座ができあがるとこのあたりの雰囲気は一変しそうである。