Lou Donaldson / Alligator Bogaloo

Alligator Boogaloo

Alligator Boogaloo

2002年から始まり、今や国内最大のジャズフェスティバルとなった「東京JAZZ」。8年目となる今年の「TOKYO JAZZ FESTIVAL 2009」は、9月4日、5日、6日の3日間、東京国際フォーラム・ホールAで開催された。

2002年と2003年は東京スタジアム味の素スタジアム)で2日間、2004年と2005年が東京ビッグサイトで2日間、2006年は東京国際フォーラム・ホールAで2日間、2007年は東京国際フォーラム・ホールAでなんと4日間、2008年と 2009年が東京国際フォーラム・ホールAで3日間。調布から有明、そして丸の内と、メガシティ東京の変貌に合わせて開催場所を写し、その規模を拡大してきた。

主催は、東京JAZZ実行委員会。この実行委員会とは、驚くなかれ、NHKNHKエンタープライズ日本経済新聞社のお堅いイメージのマスメディア3社である。2002年のスタートから、この3社は変わらぬ結束を誇っている。テレビ東京日本経済新聞社の主催じゃないところが、ちょっと面白い。JAZZが大人のための音楽で、所詮マイノリティなジャンルの証左なのかも。

2002年、東京JAZZスタート時のコンセプトを紹介しよう。人類がこれまでに生み出した音楽文化をきちんと次世代に継承し、5年、10年と継続するなか、未来に残す文化事業として、東京都民が創り上げる「東京発」、世界に誇れる音楽イベント。自由な発想でJAZZを問い直し、個の魂に自由と解放と融合を見出すムーブメントが『東京JAZZ』です。

「東京都民」の文字が浮いて見える。ちょっと幾つかの言葉を入れ替えれば、東京オリンピック招致の謳い文句になりそうだ。どちらも、未来に残す、世界に誇れるイベントな訳だから、似て非なるものか。

未来に「残さなければならなく」なってしまったのが、現在のJAZZのポジションなのである。決して最近の話ではない。JAZZの発祥地アメリカでは、以前からJAZZはマイノリティなジャンル、食えない音楽に成り下がってしまっている。

「TOKYO JAZZ FESTIVAL 2009」出演のため来日したルー・ドナルドソン(83歳!)は、正にJAZZの歴史を作り上げてきた、未だ現役のプレイヤーである。朝日新聞のインタビュー記事には、「日本のお客さんはいいね。ジャズをよく勉強している。アメリカ人はスヌープ・ドッグや50セントしか聴かないからねえ」と笑う。と、あった。Snoop Dogg も、50 Cent も、1970年代に出現したジャンル、ヒップホップ界のスーパースターである。

ジャズは、ヒップホップにサンプリングされ、クラブミュージックに取り込まれている。「踊れる」音楽として、JAZZに触れ、JAZZに目覚めた若者が廃盤レコード店でオリジナル盤を漁っていたりするから、まだまだJAZZも捨てたものじゃない。温故知新なのである。

今回は、Lou Donaldson / Alligator Bogaloo を紹介しよう。レーベルは BlueNoteで、1967年の録音。Billboard Hot 100 Chartにランクインしたほど、当時のJAZZとしては珍しく大ヒットした。ファンキー・ジャズの代名詞とも言える一枚で、ヒップホップ方面で接したことがある人が多いかもしれない。LonnieSmith のオルガンと、George Benson のギタープレイあってこその一枚。

(JHS-JAZZ 山田)