John Wright / Nice 'N' Tasty

ナイスン・テイスティ

ナイスン・テイスティ

先日、レコードを触ったこともないが、レコードを聴いてみたいという嬉しいコメントをいただいた。以前にも書いたが、粗大ごみのレコードプレイヤーを拾ってきたことが、私がADの世界に戻ったきっかけである。拾ったレコードプレイヤーでかけたレコードの音の方が、当時のハイエンドCDプレイヤーでかけたCDの音より格段に良かったからだ。CDが登場する80年代前半までの音源であれば、再発盤、国内盤であってもレコードで聴くことをお奨めしたい。同じ音源をCDとADで聴き比べてもらえばわかる筈。

レコードを触ったことがないということは、レコードプレイヤーを使ったこともないことになる。念のために、ここではレコードプレイヤーについて簡単に述べておこう。

レコードプレイヤーは、ターンテーブル、トーンアーム、カートリッジ、筐体の4つの主要部分によって構成されている。CDプレイヤーと違って、主要部分それぞれを別々に組み合わせることが可能であり、また容易に組み合わせによる音の違いを楽しむことができる。

ターンテーブルによってレコードを回転させ、トーンアームに取り付けられたカートリッジがレコードの音溝をトレースし、その振幅を電気信号に変換して出力する。その信号は、フォノイコライザーによって周波数特性を補正された上でアンプに送り込まれるという仕組み。

AD時代のアンプは、フォノイコライザーを内蔵しているものが多かったので、レコードプレイヤーからのケーブルをアンプのPHONO入力端子につなげば事足りたのであるが、最近のアンプにはPHONO入力端子など付いている筈もない。従って、現状販売されているレコードプレイヤーは、フォノイコライザーが内蔵されているものが多いようだ。なんとUSB出力まで付いているものもある。時代の変化に対応して生き残っている訳だ。

今回は、 John Wright / Nice 'N' Tasty を紹介しよう。レーベルはPrestigeで、1960年の録音。彼はシカゴ出身のピアニスト。ゴスペルフィーリング、ブルースフィーリングに溢れた、ソウルフルな「聴かせるプレイ」が楽しめる。こういうスタイルのプレイは、最近のピアノトリオでは決して聴くことはできない。Prestigeに残した彼の4枚のレコードは、すべて秋の夜長向け。

(JHS-JAZZ 山田)