農業と関税についての雑文

いただいたコメントに対して、すげなく答えてしまった。気を取り直して、関税を撤廃するという観点からの雑文を書いてみた。


関税率を引き下げると日本の農業はどうなるのかという問題についてだ。まずは総額を探してみると。

じつは農産物以外も含む総関税収入は平成17年度で1兆円に満たない。
http://www.customs.go.jp/zeikan/pamphlet/tebiki/html/tebiki_02.htm

いっぽう農業補助金OECDの報告によると2000年で6兆5000億円だ。(この類の数値は政府を信用できないのでOECDを使った)
http://www.oecdtokyo.org/theme/agri/2001/20010504argi.html

ところで平成18年の農業生産額は8兆3000億円である。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/sousansyutu-gai2006/sousansyutu-gai2006.pdf

これから読めることは

1.巨大な農業補助金を見直すと、関税率をEU・米国なみに下げたとしても、農業全般に対して壊滅的な打撃にならない可能性がある。
2.ただし、コンニャクイモなど1700%もの関税率をかけられている農産物は消え去ってしまう可能性がある。
3.しかし、民主党は「農畜産物の販売価格と生産費の差額を基本とする「戸別所得補償制度」を販売農家に実施する」として1.4兆円を用意するそうだから、関税と相殺できるようにも見える。
4.そもそもコンニャクイモに代表されるような対中国貿易については、工業製品も含めて為替レートの見直しが必要なのは自明だと思われる。

ところでJAバンクの貯金残高は78.8兆円、貸出残高は20.7兆円だ。
http://www.jabank.org/about/pdf/jyokyo_02.pdf

なにかが変だ。乱暴に平均してしまうと、年間830万円の収入がある家庭に対して650万円の補助金が与えられ、その家庭は2000万円ほどの借金はあるものの、貯金は7800万円もっていることになる。おそらく過去の農地売却収入による預金が積みあがっているであろう。それにしてもJAバンクは差額の58兆円をどうやって運用しているのであろう。農林中金を介して国債を買っているのであろうが、サブプライムでも相当やられているのではなかろうか。