Walter Bishop Jr. / Speak Low

スピーク・ロウ

スピーク・ロウ

最近、CDとAD両方で新譜がリリースされることが多いようだ。まぁ、レコードファンの要望に答えてということなのだろうが、ちょっと待ってよと言いたくなってしまう。レコード好きではあるものの、最近の録音ならば、レコードよりCDで聴く方が断然いい音で聴けると思うのだけれど。複数のメディア形式でリリースするなら、ADとじゃなくて、多少音質に問題があるにせよネットからのダウンロードとでしょうに。

60年代はMONOとSTEREOのレコード、70年代はSTEREOのレコードとカセットテープ、80年代はCDとレコード両方の形式で音楽ソフトの新譜がリリースされていた。それは、映像ソフトが、80年代にはVHSとBETA、90年代後半からVHSとDVD合わせてリリースされてきたように、その時代のユーザーが所有している再生機器の比率に合わせた販売方法であった筈。

大手家電店に行けば、CDステレオコンポより、iPodに代表される携帯型デジタルオーディオプレイヤーコンポ(呼び方がわからないのでご容赦)に割かれてるスペースの方が大きかったりする。オーディオ自体、CDがメインソースの時代からPCオーディオの時代に変貌しつつあるのではないのだろうか?CD は、CDプレイヤーじゃなく、ノートやデスクトップPCで聴くという若者が多いように思うのだが。

身近すぎてあまりいい例えにはならないが、いつの間にか若者とは言えなくなってしまった私の連れ合いは、せっかく無理してでかい平面TV買ったのにノートPCで嵐のDVDを見ているから、PCオーディオの浸透度はヴィジュアルの世界にまで到達しているのかもとまで言ってしまうのは早計かとは思う。私の現代版再生機器はCD止まり。SACDBlu-rayプレイヤーも持っていないし、音楽DVDは動くプレイヤーの絵だけ見られれば満足している程度なので PCで十分。SACDでしか発売されない新譜CDなど滅多にないので、特に困らない。

さまざまな再生方式が混在している現在、JAZZのレコーディング・エンジニアはどんな再生機器を想定した音作りをしているのか聞いてみたいものだ。どうせ聴くなら作り手が想定した一番いい音で聴きたいから、「このCDはこういう機器で再生してくださいね?」とかCDカバーに記載してくれれないかしら。その昔、ステレオ黎明期には、録音に自信があるレーベルのレコードカバー裏に、この手の記載がよく見受けられたものなんだけどな。

今回は、 Walter Bishop Jr. / Speak Low を紹介しよう。レーベルは Jazztimeで、1961年の録音。その昔は「幻」の誉れ高き名盤だったが、あまりに有名になりすぎて、あえて紹介するまでもないほど一般的になってしまった大名盤。持っている人が手放さないから、オリジナル盤は超レア。静けさや岩にしみいる蝉の声的なピアノプレイで、内容は保証する。この春、Diw からレコードでも再発された。

(JHS-JAZZ 山田)