『ヴァチカンの真実』とThe Economist June 27th-July 3rd

バチカンの素顔 (ナショナル・ジオグラフィック)

バチカンの素顔 (ナショナル・ジオグラフィック)

映画「天使と悪魔」のヒットを期待したのだろう、バチカンをテーマにした本がこの上半期だけでも何冊か出版された。かろうじて最後までページをめくったのは本書だけだ。残りの本は時間とお金の使い方としてはあまり有効ではないであろう。

そもそも本書も1991年に英語版が出版されたあと、今年になって20ページばかりを追加した増補版である。本書は写真集であり、永久不滅ともいえるヴァチカンがテーマであるから、それでもあまり不都合はないのだが、ナショジオをもってすら映画人気にあやかるものらしい。

では、なぜ本ブログで紹介したかというと、たんに表紙がキレイだったからだ。じつはこの週末は上洛していて読書どころではなかったのだ。楽しみに1冊だけ持っていった本が駄本で、あてが外れた。京都ゴルフ倶楽部というまさに古都の箱庭のようなゴルフコースを堪能したあと、久しぶりに祇園町で友人たちと遊興した。

とはいえ、京都で遊びながら読んでいたThe Economist June 27th-July 3rdの特集が面白かった。14ページもある特集のタイトルは「The end of retirement」、「リタイアの終焉」とでも訳すべきだろうか。先進国における少子高齢化年金問題をとりあげ、高齢になっても働かなくてはならなくなるという、ある意味で判りきった記事なのだが、各国比較のグラフに驚いた。

なんとオランダは義務的年金支給率が100%を超えるのだ。ご存知のとおり、日本は現役時代に得ていた所得の40%しか年金をもらうことができない最低の国なのだが、オランダはリタイアしたほうが所得が高くなってしまう。「生きてるだけで丸儲け」とはこの国のことだ。ちなみにフランスは60%だ。

次のグラフは興味深い。リタイアしてからの平均余命比較だ。男性の場合、一番長いのはフランスで20年強、一番短いのは日本で10年強だ。日本人はリタイアしたら気弱になって死んでしまうという意味ではない。定年退職になっても再雇用などの制度が整っているので、本当の意味でリタイアは遅いという意味だ。つまり、日本は政府管掌の年金は破綻しているのだが、民間が再雇用制度なのでがんばっているという意味にとれるのだ。

ということは、フランス人は現役時代の60%の年金をもらいながら20年以上にわたり引退生活を送ることになる。これでは個人投資を呼び込むのは難しいかもしれない。

同じ特集の中国の2050年の人口構成比予測もスゴイ。15歳以下と65歳以上の人口合計が80%を超えるというのだ。いま稼ぐだけ稼いで、良質な資産を積み上げなければ、この国は破綻する。