『ゴルフクラブの真実』

ゴルフクラブの真実 (パーゴルフ新書)

ゴルフクラブの真実 (パーゴルフ新書)

ドライバーを買い換えた。これまではナイキのSUMOを使っていた。方向性は良いのだが、飛距離が物足りないので、同じメーカーのサスクワッチDYMO STR-8FITを買ったのだ。これが絶好調なのだ。OBはいまだ皆無だし、220ヤードをコンスタントに飛んでいる。

じつのところあまりゴルフには自信がなかった。練習場にも通わず、自己流打法で、人から誘われるままにコースに出ていただけなのだ。自分からゴルフに行こうと人を誘い始めたのは、ここ1年くらいのことだ。そのため、ショットが悪いのは練習もしない自分が悪いからであり、クラブを変えても変化はないと思っていた。

ゴルフクラブの真実』の著者はフォーティーンというゴルフクラブメーカーを創業した竹林隆光だ。冷静な語り口で信頼に値する技術者だ。ところが、本書の本文3ページ目でいきなり「自分にピッタリのクラブに巡りあえても、長くても1ヶ月、短ければ翌日にはもう遠く真っ直ぐ飛ばなくなってしまいます」と読者の出鼻をくじく。ひゃー、せっかく買ったDYMOはどうなってしまうのだろう。

続いて著者は「自分にぴったりのクラブ」がないなら「自分が使いこなせるクラブ」を選ぶべきだというのだ。具体的には220ヤードを効率よく飛ばせるドライバーは、シャフトは50グラム台で、硬度はR、トルクが大きく、ロフトは11度で、総重量は300グラム前後だという。狙ったところに220ヤードを真っ直ぐ飛ばしたいボクとしては、じつはこの教えにしたがってディアマナ509のRシャフト付きのDYMOを買ったのだ。このクラブのスペックはシャフト重量55グラム、硬度はR、トルクは4.3、ロフトは10.5、総重量は302グラムだ。

本書はクラブ選びの技術書だ。なぜ軽すぎるアイアンを選ぶべきでないのか、なぜヘッドスピードの遅いゴルファーは低重心のクラブを選ぶべきか、トルクの大きさの違いは何に影響するのかなどを理科系にとって理解しやすい言葉で伝えてくれる。

例をあげると「ヘッドスピードの速いゴルファーは重心の下でボールを打ち、ロフトが立つ方向に回転してしまっても、ヘッドの回転によるギア効果でボールにバックスピンをかけることができ、結果的に打ち出し角は小さくなっても、バックスピンによる揚力効果でボールを浮かすことができるのだ。つまりトップ気味に当たっても最低限の弾道の高さと確保することができる。」と説明される。

結論だけを知りたいゴルファーにとってはむしろ読みにくいかもしれないが、論理を理解しなければ納得できないゴルファーにとってはありがたい。

じつは上記の文章を読んで納得したので、いま気に入って使っているS-YARDのS-2001アイアンと重量やロフト角が一致してながら、重心がさらに低いアイアンを探してみた。ONOFFのアイアンプラスというクラブが見つかった。我が家に届くのは来週初めになるであろう。これでライバルたちはコテンパンになるであろう。彼らの悔しがる顔を想像して、注文した夜は寝つけなくなってしまった。

ところで本書は非常に参考になったので、著者に敬意を表すためにフォーティーンの新ウェッジであるMT-28V4黒染め仕上げ50度と56度を買った。じつは昨日、この2本を使ったアプローチが数回も奇跡的にべたピンに寄り、バーディーを2つもぎ取って凱旋してきたのである。本書の著者写真をコピーして、キャディバックにお守りとして張っておこうと思っているほどだ。