Make Mine Swedish Style


私をスタンダードにいざなってくれたのは、当時馴染みのオーディオ店が試聴によく使っていた、リンダ・ロンシュタットネルソン・リドルと組んでスタンダードを唄い上げたレコードのCD版。ロックの歌姫と称されていた彼女が新境地を開いたレコードで、シリーズ3枚ある。日本の歌姫、美空ひばりがJAZZを唄ったような(実際あるが)ものか。カーリー・サイモンロッド・スチュワートなどもこういう類を出してたりするが、リンダにはかなわない。御大ネルソン・リドルがサポートしているせいもあるのだろう。

この曲どこかで聴いたことが・・・って思う時、思い出が心をよぎる。楽しかったり、甘酸っぱかったり、悲しかったり。スタンダードのメロディーって自分の原体験や琴線に微妙に振れてくるから不思議だ。「When You Wish upon aStar」で純真だった筈の自分を思い出し、「What's New」では若かった頃の身勝手さを恥じ入ったりさせられたりする。リアルタイムで聴いていないスタンダードだからこそ、感じる意味合いが人生の経験度によって変わってくるのかも。 ユーミン小田和正だと、その曲がヒットした頃の青春の1ページで止まってしまうが、スタンダードだと最低でも10ページ位にはなってしまう。まぁ、異性遍歴にもよるのでしょうけれど。これでネイティブ並みに英語ができたら、また感じ方も違うんだろうな。ホントにアメリカ文化の影響ってすごい。

「What's New」を演っているレコードは数知れない。感情移入しやすいメロディーラインなのだろうか、プレイスタイルや主旋律を奏でる楽器によってまるで違う曲調で聴こえるのは当然だが、曲から受けるイメージが全く違う。でもこの曲はやっぱり女性ヴォーカルで聴いて欲しいと思う。今回は、スウェーデンの歌姫 Monica Zetterlund with the Bill McGuffie Quartet / Make Mine Swedish Styleを紹介しよう。概して、ヨーロッパ人が唄うスタンダードは、アメリカ人が唄うそれとは、趣も解釈も違って面白い。国文化の差か、母国語の差なのかしらん?彼女が唄う「What's New」は、北欧映画のワンシーンを見ているようで、いかにも見た目通りの彼女っぽい唄い方。

(JHS-JAZZ 山田)