Dinah Sings Previn Plays

ダイナ・シングス・プレヴィン・プレイズ

ダイナ・シングス・プレヴィン・プレイズ

私は時折思い立ったようにクラシックを聴く。じつはJAZZを聴き始める前はクラシック一辺倒だった。妹が招聘元にいた関係で、よく関係者向けの招待券(一番良い席)を入手してもらってよくコンサートに行ったものだ。私が初めて演奏を聴きながら涙したのは、ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送交響楽団ブルックナー5番で、正に鳥肌が立って金縛りにあったとしか言いようがない実体験だった。自分は不感症なんじゃないかと思っていたくらいだから、なぜ涙が出てくるのかその時は理解できないでいた。今はアニメの「のだめカンタービレ」の中の演奏でさえ感極まってしまう程涙脆くなってしまっている。年齢を経てかえって感受性が高くなったのかもしれない?

じつはこの時の演奏が、私がスタンダードとオーディオに浸かりこむきっかけであったりする。このコンサートの感動を自宅でも味わいたくて、その後オーディオ機器を取っ換え引っ換えするようになってしまったし、あるアンプに換えたことによって、いつの間にかスタンダードやJAZZを聴くことが増えていったのである。レコードに浸かりこむきっかけは別にあるのだが、それは後日改めて。

フリードリヒ・グルダのように、JAZZをクラシック同様に嗜むピアニストもいるが、ウエストコーストのJAZZピアニストからクラシックの指揮者になった人もいる。アンドレ・プレヴィン。私はこの人が指揮棒を振るウィーン・フィルが好きだ。今では指揮者稼業の傍らでリラックスしたスタンダードジャズのCDを出したりしている。私は彼から多くのスタンダードの名曲を教えてもらっていたので、JAZZを聴き始めて暫くは、ジャズ・ピアニストのアンドレ・プレヴィンが、私の好きな指揮者 Andre Previn だったことに気付かずにいたのである。気付いたときもじつは半信半疑だったりしたのだが。

私は彼の気高いピアノ・トリオでの演奏は勿論好きだが、そっと寄り添うような歌伴での演奏に、たまらないせつなさと心地よさを感じる。ここではDinah Shore/Dinah Sings Previn Playsを紹介しよう。このレコードはCAPITOLレーベルからリリースされた名盤だが、他にも何枚かの歌伴ものがある。特にCOLUMBIAからリリースされたDoris Day and Andre Previn/Duetはお薦めしたい。

(JHS-JAZZ 山田)